国境なき医師団の新しいリーダーシップ:ジャビド・アブデルモネイム医師の就任
国境なき医師団(MSF)は9月3日に新たなインターナショナル会長として、ジャビド・アブデルモネイム医師が就任したことを発表しました。彼は、2023年6月に行われたMSFインターナショナル総会で選ばれ、任期は3年間です。
アブデルモネイム医師のバックグラウンド
アブデルモネイム医師はスーダン系イラン人で、英国ケンブリッジにて誕生。その後、英国の国民保健サービスとMSFで豊富な経験を積み上げています。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで医学を学び、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院を修了。彼は王立内科医協会のフェローでもあります。
MSFでのキャリア
アブデルモネイム医師は2009年にMSFに参加し、多くの人道危機の現場で活動を行ってきました。最初の派遣地はイラクのバスラで、そこで救急医としての経験を積み、その後はハイチやエチオピア、南スーダン、シリア、チャド、さらにウクライナや地中海での捜索・救助活動に従事してきました。特に西アフリカで発生したエボラウイルス病の流行時には、シエラレオネで医療やプロジェクトの統括を担当しました。最近では、パレスチナ・ガザ地区やスーダンのオムドゥルマンで医療チームのリーダーとして活動していました。
活動の幅広さと影響力
彼は2015年5月からMSF英国の理事を務め、2017年から2021年まで会長職にあったこともあります。このように、彼の活動は単なる医療業務にとどまらず、テレビ番組のプレゼンターとしても活動しており、NetflixやBBC、HBO、アルジャジーラなどで放送された科学ドキュメンタリーや健康エンターテインメント・シリーズにも出演。これらの活動から、エミー賞やBAFTAにノミネートされた実績があります。
新会長の就任に寄せる期待
新たに会長職に就任したアブデルモネイム医師に対し、MSFインターナショナルの事務局長であるクリストファー・ロックイヤー氏は「ジャビドがインターナショナル会長として任務を開始することを心から歓迎します。彼の経験と強いコミュニケーション力が、今後のMSFの活動を牽引することを確信しています」と述べています。
一方で、前会長にあたるクリストス・クリストゥ医師は2019年9月から2期にわたりその職務を全うし、これまで数々の厳しい状況においても献身的に活動してきました。ロックイヤー氏は、彼の人道への信念や光の当たらない危機への注目についても称賛しています。
今後の展望
新しいリーダーシップのもと、国境なき医師団はさらなる活動を続け、世界の困難な状況に対し、どのように人道的支援を充実させていくのか注目されます。アブデルモネイム医師がリーダーとしての役割を果たし、より良い医療と支援を必要とする人々に灯りをともすことを期待せずにはいられません。