大河ドラマ「べらぼう」の近世美術史考証者が描く新たな視点
2025年に放送予定の大河ドラマ「べらぼう」で、近世美術史の考証を担当する松嶋雅人さんが新たに書籍を発表しました。そのタイトルは『蔦屋重三郎と浮世絵「歌麿美人」の謎を解く』。この書籍は、蔦屋重三郎、通称「蔦重」のビジネスマインドや、その背景にある浮世絵の美しさを豊富な図版とともに解説しています。
蔦屋重三郎とは
蔦屋重三郎は、江戸時代中期の著名な出版業者であり、近代のコンテンツビジネスに多大な影響を与えた人物です。そのため、彼は“江戸のメディア王”とも称されています。本書では、蔦重がどのようにして浮世絵の世界で成功を収め、いかにして数々の名作を世に送り出したのかが探求されています。
本書は、彼の業績に関する詳細な考察を行うとともに、作品の歴史的背景や美術史上の意味を深めることを目的としています。特に、蔦屋重三郎が手掛けた作品には、歌麿による「ポッピンを吹く娘」という名作があります。この作品が名声を博した理由や、蔦重自身の商業的な戦略についても詳しく取り上げられています。
書籍の内容
本書は、全体を通してオールカラーの図版が豊富に収蔵されており、第一章では歌麿のリアリズムについて触れます。さらに、歌麿が蔦重に選ばれた理由や、その影響がどれほどのものであったかについても考察されます。
- - 第一章: 歌麿のリアリズム ー 浮世絵美人画の旋風
- - 第二章: なぜ「歌麿」だったのか
- - 第三章: 蔦重のリアリズム ー はじまりは吉原
- - 第四章: 飛躍のカギは「狂歌ネットワーク」
- - 第五章: 出る杭は打たれても出る ー 蔦重と筆禍
- - 第六章: 写楽のリアリズム ー 蔦屋の誤算
- - 第七章: 貫かれた蔦屋イズム
この目次からも、蔦屋重三郎のビジネスマインドやその背景にある文化的要素を深く掘り下げる内容であることがわかります。特に、蔦重とその周辺に存在した文化的ネットワークがどのように彼の成功を支えたのかを明らかにしています。
著者について
松嶋雅人さんは1966年に大阪で生まれ、日本の絵画史に深い造詣を持つ学者です。東京国立博物館での職務を経て、日本近世から近代にかけての美術を専門として研究を続けています。これまでの著作にも高い評価が寄せられており、今回の新刊も期待されています。
新刊のリリース
『蔦屋重三郎と浮世絵「歌麿美人」の謎を解く』は、12月10日にNHK出版より発売予定で、定価は1,265円(税込)です。現代の視点から江戸時代の商業文化に迫る本書は、美術ファンや歴史愛好者にとって、楽しみな一冊となるでしょう。興味のある方は、ぜひ手に取って、その奥深い内容を堪能してみてください。