LiDARと電柱で解決する伏見稲荷の観光課題
京都市伏見区にある世界的に有名な伏見稲荷大社は、毎年多くの観光客が訪れる場所です。しかし、その人気の影に、周囲の交通混雑や歩行者の安全が脅かされる問題が存在しています。この課題を解決すべく、62Complex株式会社は関西電力送配電株式会社と連携して、最先端技術を駆使した取り組みを始めました。
イノベーションの始まり
62Complexは、LiDAR(Light Detection and Ranging)センサーを用いて、伏見稲荷周辺の都市空間データを取得します。この技術を使うことで、歩行者や様々な交通手段の動向をリアルタイムで把握し、道路の状況を可視化することが可能です。特に、歩行者と車両が錯綜する状態を、定量的に分析し、具体的な交通事故のリスクを特定します。
プロジェクトの概要
期間は2025年10月1日から2026年2月16日までで、京阪伏見稲荷駅から伏見稲荷大社までの範囲で行われます。
- - データ取得: LiDARセンサーを電柱に設置し、歩行者や車両(乗用車、トラック、バイクなど)を計測。
- - 分析手法: リアルタイムで3D空間をデジタル化する「MATIENCE」プラットフォームを利用。
このプロジェクトは、既存の交通管理システムでは捉えきれない詳細な道路状況を提供し、観光客の安全確保を図るものです。
温かいおもてなしと冷静な分析
初めのデータ分析で明らかになったのは、特に稲荷橋西側の飲食店が集まるエリアで、特定の時間帯に歩行者が密集する傾向があることです。このため、歩行者の動線が広がり、車道側にまで迫っている様子が観測されています。こうした状況が継続的に見られることが、交通事故を引き起こすリスクを高めています。さらに、MATIENCEの3D空間解析によって、歩行者の動きと車両通行のラインが重なる場面が複数存在することが明らかになりました。
このようにして可視化されたデータは、今後の交通政策に大きな影響を与える可能性があります。また、歩行者数と車両通過量の時系列比較から、狭い道の混雑が特にピークタイムに顕著であるとの結果も得られました。
未来へ向けた展望
現在の分析結果をもとに、62Complexは観光課題の研究を今後も行っていきます。加えて、京都市全体を対象にしたEBPM(Evidence-Based Policy Making)の支援にも力を入れていく予定です。
関西電力送配電が持つ電柱というインフラを利用したデータ計測技術は、全国の観光地での「混雑対策」と「道路の安全確保」に新たな光をもたらすことでしょう。
62Complexの紹介
62Complex株式会社は、2021年に設立され、最先端のセンサー技術を使ったフィジカル空間データ解析の専門企業です。「MATIENCE」を駆使した解析を全国の都市やインフラ、そして様々な事業に展開し、オフラインデータを活かして社会課題の解決を目指しています。
このような革新的な取り組みの一つとして、LiDARと電柱を活用した今回のプロジェクトは、観光地における新たな試みとして注目されます。観光業の未来、そして都市の安全を多面的に支える野心的なプロジェクトとなることでしょう。