LGBTQの子どもと若者を守るための課題と現状：深刻な調査結果を受けて

LGBTQの子どもと若者を守るための現状

認定NPO法人ReBitが実施した「LGBTQ子ども・若者調査2025」では、過去1年間におけるLGBTQの子どもや若者からの切実な声が寄せられました。調査によると、約5千名の中高生の約90%が学校で困難やハラスメントを体験しており、その原因の64%が教職員に起因しています。特に、自殺念慮を抱えた10代は57%に達しており、深刻な社会問題として取り上げられるべき状況にあります。

調査の概要

本調査は、2025年の2月から3月にかけて、インターネットを通じて行われました。その結果、4925人の回答者の中から4733名のデータが分析対象となり、多面的にLGBTQの現状が分析されました。調査の目的は、LGBTQの理解増進、社会的な環境の改善、そして支援体制の強化にあります。

健康・メンタルヘルスの問題

50%を超える10代のLGBTQは、自殺念慮を抱えており、特に安心して相談できる環境の有無がその数値に影響を与えていることが明らかになりました。たとえば、安心できる相手がいる場合、自殺念慮を抱く割合は12%も低下します。また、LGBTQのユースの57%が心身の不調や精神疾患に苦しむ中、やはり相談の場が欠如していることがメンタルヘルスの悪化を招いているのです。

学校環境の実態

学校における現状も憂慮すべきものです。調査の結果、89.5%の中高生が学校でのハラスメントを経験しており、その多くは教職員からのものでした。「生徒からの偏見」や「不適切な男女分け」が目立つなど、教育環境の質が大きく問われています。さらに、LGBTQの中高生の94%は担任の先生にセクシュアリティについて安心して相談できないと回答しており、これは重大な問題を示しています。

住まいと保護者の関係

調査によると、LGBTQユースの28.7%が自宅に安心できる居場所を持たず、15%は家以外で寝泊まりをした経験があると報告されています。保護者との関係の困難さも影響しており、87.6%が保護者とのコミュニケーションに問題を抱えていることが明らかに。こうした状況は、家庭内での理解が欠如しているからこそ生じているのです。

就労における課題

加えて、就職や転職に際しても、多くの難しさがあることがわかっています。トランスジェンダーの74%が採用選考時に困難を経験したと答え、職場でのハラスメントも頻繁に発生しています。特に、LGBTQの人々が安心して働ける環境が整っていないことが深刻な問題です。

社会的提言

調査結果を受けて、これから取り組むべきことは多岐にわたります。LGBTQユースが安心できる居場所の拡充や、学校における理解を促進する教育の質向上が急務です。また、家庭や地域のサポートも強化されるべきであり、皆がLGBTQに対して理解を深め、支援する社会を築く必要があります。共に手を取り合い、全ての子どもたちが自分らしく生きられる社会を目指すことが、今後の課題です。

全国各地で実施予定の調査報告会を通じて、さらなる理解の促進と問題の可視化が求められています。