近畿大学と白浜町が描く新しいキャリアの在り方
和歌山県白浜町において、地方の新たな働き方と若者のキャリア形成について考える共同プロジェクトが実施されました。近畿大学経営学部とオーエス株式会社が手を組み、「白浜LIFEを考えよ~新しいキャリアの在り方Work&Life~」をテーマにした研究が行われ、その成果が1月16日に発表されました。
プロジェクトの背景
白浜町では、高齢化が進行し、若年層の流出が深刻であるという課題があります。この地域には高校や大学が存在せず、若者が他の地域へ移る現象が続いています。このような状況を打破するため、若年層向けの雇用機会を拡大し、Uターン就職を促進する必要があります。
一方、オーエス株式会社は、白浜町にリゾートサテライトオフィスビル「ANCHOR」を設立し、リモートワークの普及により地方移住や新たな働き方を提案しています。そのため、このプロジェクトでは若年層の新卒就職を促進し、白浜町での生活を提案する施策が模索されました。
プロジェクトの内容
プロジェクトでは、近畿大学の岩井貴美ゼミに所属する学生たちが、白浜町に暮らす移住者や地域のIT企業へのインタビューを行い、彼らの体験を通じて白浜町の魅力をじっくりと調査しました。また、大学生を対象とした地方就職のアンケート結果も踏まえ、若者向けの具体的なアプローチについてのアイデアが生まれました。
調査結果によると、大学を卒業する新卒時点では地方での就職を視野に入れる割合は僅か21.8%ですが、キャリア形勢の転換期である5年目以降では28.2%に増加しています。これは、若年層がセカンドキャリアを考える際に自然と地方を選択肢に入れる傾向を示しています。
この知見を基に、次のような提案がなされました:
1.
1日インターンシップの開催:大学生が白浜町で生活し働く体験を気軽にできるイベントを実施し、地域企業や住民との交流を促進します。
2.
1泊2日体験型インターンプログラム:IT企業や「ANCHOR」の見学、地域イベント参加を通じて地域の魅力を知る特別なプログラムを提案しました。
3.
オンライン説明会「リモートジャーニー」:自宅から参加できるオンライン説明会を実施し、白浜町の魅力や就職機会を広く知らしめます。
4.
転職希望者向け説明会:東京での説明会を企画し、地域の魅力や生活環境を紹介します。特産品試食会や移住者の体験談も通じて白浜町を推奨します。
学生の感想
岩井ゼミの学生たちは、地域のニーズや価値観を理解することの大切さを学びました。具体的には、以下のような感想を語りました:
- - 地元の人々の声を深く理解し、真の課題を認識するようになった。
- - データ分析や現地リサーチの重要性を体感した。
- - 課題解決のための実践的な企画提案力を養った。
結論と今後の取り組み
このプロジェクトを通じて得られた調査結果と提案内容は、白浜町の若年層定着や地方移住促進に向けた施策における基盤として位置づけられています。今後も白浜町や協力企業との連携を深め、実践的な取り組みへと発展させていくことを目指します。地域の魅力を最大限に引き出し、若者たちに新たなチャンスを提供していくことが期待されています。