シン・マーケットイン型付加価値組織の秘訣
近年、多くの企業が価格競争に巻き込まれ、利益率の低下に悩んでいる中、株式会社カクシンの代表取締役CEOである田尻望氏は、ITmedia エグゼクティブの勉強会で「シン・マーケットイン型付加価値組織への転換方法」について講演を行いました。この講演では、彼の過去の経験やキーエンスでの成功事例を基に、企業が収益性を高めるための戦略について詳しく解説されています。
キーエンスの収益性の秘密
キーエンスは、売上が1兆円を超えているにもかかわらず、営業利益率が51.9%という信じられない高い数字を維持しています。この驚異的な成功の背景には、田尻氏が語る「付加価値戦略と差別化戦略を全社員が一致団結して実現する仕組み」が大きな要因として挙げられます。ここでは、キーエンスが売れ続ける理由を3つに分けて説明します。
1. お客様の隠れたニーズを特定する
キーエンスでは、製品開発において「お客様が気付いていない困りごと」を見つける技術が活用されています。従来のアプローチでは、お客様の要望を聞いて製品を作るのが一般的ですが、キーエンスでは先回りして解決策を提供することを重視しています。その結果、新製品の70%が「世界初」または「業界初」となり、常に市場の先端を走り続けているのです。
2. 売れる確信を持った製品開発
通常、製品は作成してから売り方を考えることが多いですが、キーエンスでは製品を作る前に、その製品が絶対に売れるという確信を持って開発する方法を取っています。このアプローチにより、売上は1兆591億円、営業利益は5498億円に達し、営業利益率51.9%を実現しています。
3. 営業スタッフの技術的知識の重要性
営業部門と技術部門の連携もキーエンスの成功の一因です。一般的には、営業は売ることに専念し、技術者は製品を作ることに専念しますが、キーエンスでは営業スタッフが技術的な課題を深く理解し、解決策を提案できるように組織づくりを行っています。これにより、限られた資本と人手で最大の付加価値を生むことができます。
カクシンの目指す未来
株式会社カクシンは、田尻CEOが掲げる「構造にアプローチすることで、商品やサービスの付加価値を向上させる」という企業理念のもと、競争力の向上を目指しています。特に、生成AIを活用した営業トレーニングシステムの開発や、人財育成の仕組み構築など、新しいアプローチを通じて、企業が長期的な成長を実現できるよう貢献しています。
田尻望CEOのプロフィール
田尻望氏は、京都市出身で、大阪大学基礎工学部を卒業後、株式会社キーエンスでのキャリアを築きました。そこではコンサルティングエンジニアとして活動し、高収益企業へのサポートを行ってきた実績があります。2017年にカクシンを設立以降、多くの企業に対して成功を収めてきました。彼の著書「付加価値のつくりかた」は10万部を超える人気を誇ります。
まとめ
今後の企業経営において、田尻氏が提唱するシン・マーケットイン型の付加価値組織の考え方が、ますます注目されることでしょう。圧倒的な収益性を実現するための具体的な方法や戦略が、多くの企業にとっての参考になることは間違いありません。これからのビジネスシーンでの展開に期待が寄せられています。