アボットが新しい「Amulet 左心耳閉鎖システム」を発売
2025年3月11日、アボットメディカルジャパン合同会社が新たなデバイス「Amulet 左心耳閉鎖システム」を発表しました。このデバイスは、非弁膜症性心房細動による脳卒中のリスクを減少させることを目的としており、2024年10月に製造販売承認を取得しています。
1. 心房細動と脳卒中リスクの関係
非弁膜症性心房細動は重大な健康リスクを伴う状態で、特に脳卒中を引き起こす原因となります。この状態では、左心房内の「左心耳」に血栓が形成されることがあり、これが体内に流れ出ると脳卒中につながります。これを防ぐためには、抗凝固薬(OAC)の服用が推奨されますが、長期にわたる服用が困難な患者にとっては、代替療法が必要です。
2. Amulet 左心耳閉鎖システムの特長
新しいAmuletデバイスは、その独自の2層構造によって左心耳のさまざまな解剖学的構造に対応することができます。これにより、従来のデバイスでは閉鎖が難しい形状の左心耳でも適切に閉鎖することが可能です。術後のリークを防ぎ、高い閉鎖率を実現しています。
さらに、デバイスはニチノールワイヤーで構成されており、形状記憶の特性を持つため、手術時に元の形状に戻ることができるのです。サイズ展開は幅広く、利用できる患者に柔軟な対応が可能です。
3. 臨床試験とその結果
Amuletの効果は海外での臨床試験「Amulet IDE」において実証されており、術後45日時点での左心耳閉鎖率は98.9%、12ヶ月後には99.4%に達しました。また、術後3年時点では96.2%の患者がOACの使用中止を達成していることが示されています。
4. 期待される影響
今後、Amuletは心房細動を持つ患者さんにとって症状の軽減や脳卒中リスクの低減に貢献すると期待されています。鳥取大学医学部の山本教授は、「Amuletは本邦でも左心耳閉鎖術の新たな選択肢として期待されます」と述べています。
一方、小倉記念病院の福永副部長は、「Amuletのデュアルシール構造は新たな基準となる可能性があり、競争が発展の原動力になる」との見解を示しました。
5. まとめ
アボットの新しい「Amulet 左心耳閉鎖システム」は、心房細動による脳卒中の劇的なリスク低減を実現するための重要な選択肢として、医療界に新しい光をもたらすことでしょう。アボットは、今後も患者にとって最適なソリューションを提供していく所存です。
デバイスの詳細はアボットの公式ウェブサイトにて確認できます。