日本の爬虫類市場の現状
2025年7月24日、公益財団法人WWFジャパンが発表したレポート「問われる日本の責任~日本市場で人気の9種の爬虫類に関する取引調査」が注目を集めています。この調査は、国内で人気のある9種の爬虫類の取引状況を詳しく分析したもので、合法性や持続可能性が疑問視される現状を浮き彫りにしました。
背景と市場規模
爬虫類は、世界中で商業利用されている脊椎動物の中で最も多様性に富むグループとされています。国際爬虫類取引は数十億ドル規模に達しており、その中で日本は生きた爬虫類の輸入量で世界第2位という重要な市場です。しかし、取引の規制や研究は十分とは言えず、違法取引や乱獲の現状もあることから、問題は深刻です。
2023年11月に開催されるワシントン条約第20回締約国会議(CITES CoP20)では、ペット目的で取引される爬虫類の保護についても議論されています。このため、WWFジャパンは日本市場における爬虫類の取引を対象に調査を実施しました。
主要な調査結果
世界的な取引シェア
調査対象となった9種の爬虫類のうち、6種は輸入量で世界トップ5に入っており、そのうち4種に関しては輸入量が第2位であることが判明しました。これは、日本の爬虫類市場が国際的に非常に重要であることを示しています。特に、クロヨロイトカゲは合法的な輸入記録がないにもかかわらず、日本国内で流通していることが確認されました。
さらに、絶滅危惧種のコバルトツリーモニターは、インドネシアの法律に基づき野生捕獲個体の輸出が禁止されているにもかかわらず、「野生捕獲」として日本市場に流通しています。また、ロンダリングの可能性も指摘されています。
未規制種の取引拡大
アカメカブトトカゲやモトイカブトトカゲなどの野生捕獲個体が大量に取引されていることも確認されました。これは、ワシントン条約に未規制の種が増加していることを示し、過剰利用の懸念が高まっています。
生態系への影響
調査によれば、日本の爬虫類ペット市場の拡大は、野生動物の違法取引を助長し、生態系にも悪影響を及ぼすことが懸念されます。WWFジャパンはこの調査結果を通じて、日本が国際的な爬虫類取引において責任を負っていることを認識し、持続可能な取引の推進を求めています。
専門家の意見
WWFジャパン 野生生物グループの若尾慶子氏は、長年日本の爬虫類ペット市場を監視してきた経験から、依然として疑問の残る取引が行われている現実に遺憾の意を示しています。生物多様性の回復が求められる現在、事業者は合法的かつ持続可能な取引を実現する責任があると訴えています。また、経済産業省や環境省にも、輸入国としての責任を果たすように求めています。
調査の概要と手法
この調査は2025年3月に実施され、対象となる爬虫類の取引状況を把握するために、オンライン調査や実地調査が行われました。国際的な取引動向のデータベースやオープンソースの情報も活用し、違法取引の状況や商業的繁殖の可能性についても分析が行われました。
まとめ
WWFジャパンの調査は、日本の爬虫類取引についての重要な蓄積を提供しており、国際的な責任を果たすための取り組みの必要性を浮き彫りにしています。持続可能な取引の実現に向けて、日本の政策決定者や関係者がどのような行動を起こすか、今後の動向に注目が必要です。