世界初の技術、マルチコア光ファイバーの遠隔診断
世界の通信技術が進化を遂げる中、アンリツ株式会社とKDDI総合研究所が新たな成果を上げました。彼らは、マルチコア光ファイバーを用いた次世代光海底ケーブルにおける遠隔監視システムの設計と、その実証試験に成功したのです。この試験は、光ファイバー技術の新たな可能性を示し、国際通信網の強化に寄与することが期待されています。
光通信の未来を切り開く
アンリツは、神奈川県厚木市に本社を構え、光通信関連の技術をリードする企業です。一方、KDDI総合研究所は、埼玉県ふじみ野市に本社を持ち、通信分野における研究開発を積極的に進めています。両社は、光通信技術の進化を促進し、より効率的で的確な通信手段を提供することを目指しています。
マルチコア光ファイバーの必要性
現代において、AIやIoT技術の急速な普及が進む中、世界全体の通信需要が増加しています。これに伴い、光海底ケーブルの大容量化が求められています。現行のシングルモード光ファイバーでは、一本の光ファイバーに一つのコアが存在し、容量には限界があります。そのため、複数のコアを持つマルチコア光ファイバーの導入が注目されているのです。
新たな試験環境の構築
今回の試験では、KDDI総合研究所のノウハウを活かし、マルチコア光ファイバーに遠隔監視機能を持たせた光海底ケーブルシステムの試験環境が構築されました。この環境では、アンリツ製の光パルス試験器「コヒーレントOTDR MW90010B」を使用し、光伝送路の特性を測定しました。具体的には、障害位置の特定や損失の分布の計測が行われました。
遠隔からの“見える化”が実現
試験の結果、マルチコア光ファイバーにおいても、既存のシングルモード光ファイバー同様に、コヒーレントOTDRを利用した測定が可能であることが確認されました。また、光ファイバー全長にわたるコア間クロストークの分布を把握することで、光の品質を保つための重要なデータを取得できました。
この技術革新は、遠隔から光海底ケーブルの状態を把握し、迅速に対応することが可能になることを意味します。これにより、通信網全体の信頼性が向上し、効率的な運用が実現します。
国内外での発表予定
この試験結果は、2025年にデンマークで開催予定の国際会議「The 51st European Conference on Optical Communication (ECOC 2025)」で発表される予定です。ここで、他の研究者や企業と議論を交わし、さらなる技術革新の扉を開くことを目指します。
今後の展望
アンリツとKDDI総合研究所は、今後も協力して研究開発を続け、光海底ケーブルシステムの大容量化と信頼性向上に努めます。新しい通信技術は、私たちの生活を一変させる可能性を秘めています。これからの進展に目が離せません。