伝統産業の再生を促す広報誌「とっきょ」64号が発行されました

伝統産業の新しい未来を描く「とっきょ」64号発行

特許庁が発行する広報誌「とっきょ」の64号が、2025年3月7日にリリースされました。この号のテーマは、伝統産業の未来を知財の力で切り開くことです。特許庁は、幅広い層に知的財産に関心を持ってもらうため、成功事例や最新情報を紹介しています。

伝統産業の課題

現在、多くの伝統産業が衰退しており、それは社会的な課題として捉えられています。しかし、知的財産の活用によって新たな可能性が見いだされることが期待されています。64号では、以下の重要なポイントを基にした様々な事例を取り上げています。
1. 新技術や発想の転換による価値創造
2. 他分野への技術転用や横断的な活用
3. ライセンス契約の活用による収益化
4. ブランディングと地域資源の活用
5. 新市場の開拓による国際的な視野

特集1：信楽焼の「光る洗面器」

特集の一つとして、信楽焼の可能性を広げる「光る洗面器」を取り上げています。この洗面器は、信楽町の窯元・艸方窯が新しい技術を駆使して製造したもので、滋賀県工業技術総合センター信楽窯業技術試験場とのコラボレーションによって誕生しました。

この洗面器のユニークな点は、特許に基づく透光性陶土の使用です。これにより、従来の信楽焼にはなかった新しい機能性と美しさが加わり、伝統工芸と最新技術が融合した商品となっています。艸方窯の奥田芳久氏と滋賀県工業技術総合センターの高畑宏亮氏にインタビューを行い、このプロジェクトがもたらす新たな価値について伺いました。

特集2：漆の新たな技術

もう一つの特集は、漆の新しい特許技術についてです。株式会社佐藤喜代松商店が京都市産業技術研究所と共同開発したこの技術は、高い光沢感と透明感を持つ漆を生み出しました。

伝統的な漆の技術はアナログ的な手法で受け継がれてきましたが、これを知的財産として進化させる試みがされています。佐藤社長と技術支援センターの橘氏との対談から、漆工芸の未来についてのビジョンも示されました。

知的財産の重要性

「とっきょ」は、ただの広報誌ではなく、知財がどのようにビジネスや生活に影響を与えるかを学び、楽しめる一冊です。知的財産は、企業の競争力を高めるための重要な要素であり、我々一人ひとりにも関係があるのです。

今回の号を通じて、知的財産についての理解を深めるとともに、伝統産業が新しい道を切り開く様子に触れてみてください。将来の産業の在り方を考えるきっかけになることでしょう。