慢性腎臓病（CKD）の早期発見が健康維持のカギ

イーヘルスクリニック新宿院が実施した調査によると、慢性腎臓病（CKD）は日本国内で推計1480万人の人々が罹患している国民病です。この疾患は、無症状のうちに進行し、重症化すると人工透析や腎移植を必要とすることから「サイレントキラー」とも呼ばれています。

調査の背景と目的

慢性腎臓病は腎機能が低下する病気であり、多くの人々がこの疾病を理解しておらず、また定期的な健診を受ける意識も不十分であると考えられています。そこで、イーヘルスクリニック新宿院は全国の300名を対象にCKDについての認知度や受診状況を調査しました。この結果、約80％の人が「CKDをほとんど知らない」と回答し、早期発見につながる行動を促進する必要性が示されました。

CKDとは何か？

慢性腎臓病は、腎臓のフィルター機能が3か月以上低下した状態を指します。この状態になると、老廃物や余分な水分が体内に蓄積され、様々な健康障害につながります。特に、脳卒中や心筋梗塞、認知機能の低下といったリスクが高まるため、早期発見が重要です。

早期発見のためには、次の3つのポイントがあります。
1. 年1回以上の健診でeGFR（腎機能を示す指標）や尿タンパクを確認すること。
2. 高血圧や糖尿病がある人は、血圧や血糖をコントロールし、塩分を減らすこと。
3. 異常が見つかった場合は腎臓内科で詳しい検査を受けること。

世界的なCKDの増加

イタリアのMario Negri研究所によると、2017年時点で世界中には約6億9750万人のCKD患者がいます。これは有病率が9.1%に達しており、1990年から29.3%も増加しています。CKDは心血管疾患のリスクを高め、公衆衛生にも影響を及ぼすため、予防と早期治療の重要性が強調されています。

調査結果とその意義

調査の結果、慢性腎臓病について「詳しく知っている」と答えた人はわずか13.7%に過ぎませんでした。また、初期段階では無症状であることや、重篤な合併症のリスクについて知らない人が多いことが判明しました。生活習慣病（高血圧・糖尿病）との関連性についても、40%以上が「全く知らない」と回答しています。

これらの結果から、CKDに関する社会全体での啓発が急務であることが浮き彫りになりました。特に、自覚症状がないまま病気が進行してしまうリスクを理解してもらうための取り組みが必要です。

健康診断の受診状況とその重要性

調査では、健診の重要性を認識しながらも、実際に受診を行っていない人が多いこともわかりました。例え受診の重要性を理解していても、費用や時間の問題が障害となっていることが浮き彫りになっています。特に20代の若者たちは費用負担がネックとなっている一方、30代では時間的制約、50代では「自覚症状がないから不要」とする意見が多いです。

CKDの早期発見がもたらすメリット

腎臓は「体内フィルター」としての役割を果たしており、その機能が一度低下すると元に戻るのが難しいと言われています。したがって、早期にCKDを発見し、適切な対策を講じることが全身の健康にとって非常に重要です。年1回の健康診断でeGFRと尿タンパクを確認することにより、腎機能の低下を早期に捉え、生活習慣の改善や必要な薬物療法を適切に開始することが可能です。