ブリヂストンとMCD3、冬タイヤの送り込み最適化システムが受賞
最近、株式会社ブリヂストンとエムシーディースリー株式会社(MCD3)が共同で開発した「冬タイヤの送り込み最適化システム」が、モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)による「MCPC award 2026」で「ビジネスAX委員会特別賞」を受賞しました。これは、冬用タイヤの需要に対して適切な供給を実現するための革新的なプロジェクトです。
プロジェクトの背景
冬用タイヤの需要は毎年10月から12月の3か月間に集中しており、販売数量の約4割がこの期間に集中します。しかし、降雪や降雪量によって需要が大きく変動するため、タイヤ供給においては、品切れや過剰在庫といったリスクを同時に管理することが求められます。これまでの方法では、過去の販売データと担当者の経験に依存していたため、柔軟かつ適切な在庫配置や需要予測が困難でした。
この課題を解決するため、ブリヂストンとMCD3は2022年より共同プロジェクトをスタートさせました。
AIを活用した仕組み
今回のシステムの核心には、需要予測と送り込み最適化という二つのAIシステムがあります。需要予測AIは、天気予報や新車、タイヤの販売動向、値上げ情報など様々なデータを分析し、地域ごとに必要なタイヤの需給を先読みします。一方、送り込み最適化AIは、倉庫の保管能力やコストを考慮し、最も効率的なタイヤ送り込み計画を自動生成します。
これらのAIを連携させることで、国内7つの工場から全国の倉庫への送り込み量を週ごとに算出し、約100種類のSKUに対応しています。この仕組みは、MCD3が提供するデータプラットフォーム「タキオン」を基盤にしており、効率的かつ迅速な在庫管理を可能にしています。
実際の成果
このシステムの導入により、いくつかの具体的な成果が得られました。例えば、2021年と比較して、売り逃しといった受注残発生本数が約半減し、倉庫間移管コストも同様に半減しました。また、配送計画の策定に要する時間も年間で約200時間削減できました。
このように、定量的な成果だけでなく、従来は担当者に依存していた判断基準がデータに基づくものへと進化し、無駄な在庫や資源の浪費を抑制することにも貢献しています。さらに、これによりCO2排出の削減にも寄与することが期待されています。
お二人のコメント
株式会社ブリヂストンのプロジェクト責任者である岡本氏は、「この受賞を大変光栄に思い、冬タイヤの需給を事前に予測し、適切に在庫を配置する重要性を再確認しました。」と述べています。また、MCD3のプロジェクト責任者佐伯氏も「現場の知見とAIの融合が生んだ成果だと感じており、今後は他の分野にもこの手法を展開していきたいです。」と話しています。
MCPCについて
MCPCは1997年に設立され、モバイルコンピューティングの普及を通じて業界全体での技術の標準化や新しい価値の創出に取り組んでいます。毎年開催される「MCPC award」においては、さまざまな分野から斬新なプロジェクトを表彰しており、今回のブリヂストンとMCD3の受賞もその一環として位置づけられています。
ブリヂストンとMCD3による冬タイヤの送り込み最適化に向けた取り組みは、今後の物流や供給チェーンの在り方を変える可能性を秘めており、多くの企業にとっての参考となるでしょう。