環境に優しいタイヤ用バイオマス軟化剤の誕生
ハリマ化成グループ株式会社が、再生可能な天然資源である松由来の「タイヤ用バイオマス軟化剤」を開発したというニュースが注目されています。この新しい軟化剤は、タイヤ産業の持続可能性向上と環境負荷の低減に寄与することを目指しています。
環境保護のための取り組み
近年、環境保全の意識が高まる中で、各タイヤメーカーは2030年までにタイヤ材料の30%から40%をサステナブルな材料に切り替えることを目標に掲げています。そして、2050年には100%をサステナブルな材料に置き換えるという野心的な計画も進行中です。特にタイヤの重要な構成要素である軟化剤は、ゴムや充填剤に次ぐ多くの原材料から成り立っており、タイヤの性能にも大きく影響します。
従来の市販の軟化剤は主に石油系であるため、サステナブルな材料への切り替えが求められています。しかし、これまでのバイオマス系軟化剤は性能面で十分な評価を得られず、その普及が難しい状態でした。タイヤの安全性に直接関連するため、性能を損なわずに環境負荷を軽減できる素材が今まさに求められています。
従来品を超える性能
ハリマ化成が開発したバイオマス軟化剤は、松由来のロジンを含むなど、99%以上のバイオマス原料を使用しており、低炭素化にも貢献します。中でも、国際的な持続可能性カーボン認証であるISCC PLUSを取得した製品がラインナップに含まれており、トレーサビリティが確保されています。これにより、顧客はより信頼性の高い選択肢を手に入れることができます。
特筆すべきは、既存のバイオマス系製品が持っていなかったグリップ性能の向上です。新しい軟化剤は、石油系軟化剤と同等の特性を保持しつつ、顧客からはゴムの基礎物性においても代替可能との評価を受けています。さらに、耐摩耗性は従来品より約10%向上しており、これによりタイヤの寿命が延びるだけでなく、タイヤ交換の頻度も減ることから、ユーザーにとってコスト削減と廃棄物や環境負荷の削減にも直結します。
電気自動車への関連性
加えて、このバイオマス軟化剤は重量が重く、高い耐摩擦性や摩耗性が求められる電気自動車のタイヤにも効果的です。電気自動車の普及が進む中で、その需要も高まることでしょう。
未来への展望
今後、ハリマ化成はこのタイヤ用バイオマス軟化剤に加え、他のバイオマス素材を使用した新製品の開発を加速させることで、持続可能な製品の拡大を図っていく方針です。また、SDGsをはじめとした社会課題の解決にも積極的に貢献していく考えです。これにより、未来の環境問題解決にも寄与するでしょう。
本件に関する詳細情報は、2025年2月3日に公開された当社のリリースをぜひご覧ください。
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