持続可能な建設へ向けた排ガス活用の新しい試み
安藤ハザマ株式会社が主導する革新的なプロジェクトが今、注目されています。このプロジェクトは、環境に配慮した建設技術の開発を目指し、バイオマス発電所の排ガスを利用したプレキャストコンクリート床版ブロックの製造試験が始まったもので、持続可能な社会の実現に向けた一助となることが期待されています。
計画の背景と目的
安藤ハザマは、2022年よりNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のグリーンイノベーション基金事業の一環として、「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発」プロジェクトに取り組んでいます。このプロジェクトでは、CO2の排出を削減するための技術が求められており、15の企業や団体が集まり、CPコンクリートコンソーシアム(CPCC)を結成しています。この中で安藤ハザマが幹事会社としてリーダーシップを発揮しています。
製造試験の内容
製造試験は、滋賀県栗東市のCPセンター栗東で行われており、いぶきグリーンエナジーバイオマス発電所からの排ガスを活用しています。具体的には、発電所の排ガスを通過させることで、再生骨材と呼ばれるコンクリートの材料をCO2で固定化しています。これにより、最大60kgのCO2を固定化した「炭酸化再生骨材」と、最大335kgのCO2を固定した「炭酸化スラッジ粉末」を生成しました。これらの材料を組み合わせて床版ブロックが製造されています。
さらに興味深いのは、ブロックの養生過程にも排ガスが使われており、これによって追加で約70kg/m³のCO2を固定化することに成功しました。最終的に、養生後のプレキャストコンクリート床版ブロックには、最大で125kg/m³のCO2固定が確認されています。
今後の展望
現在のところ、各製造工程におけるCO2の固定量にはばらつきが見られますが、安藤ハザマでは今後、安定したCO2固定が可能な方法の模索を続け、さらなる技術向上を目指すとのことです。また、製造したプレキャストコンクリート床版ブロックは、2025年に開催される大阪・関西万博の関連事業での使用が予定されており、将来的な建設現場への実装の道筋を開くことになります。
環境への配慮
安藤ハザマは、持続可能な社会の実現に向けて、今後もこのような環境に配慮した建設技術の開発を進めることを宣言しており、コンクリート業界にとっての一大転換点となる可能性があります。同社の取り組みは、他の企業や団体にとっても大いに参考になるもので、このような技術が今後どのように進化していくのか期待が寄せられます。
これからも、安藤ハザマの新たな挑戦から目が離せません。