加賀温泉郷に新たな魅力、アートで彩るレストランのリニューアル

2024年8月、石川県加賀温泉郷の山中温泉に誕生する新たなレストラン、『やまなか鶴仙渓キッチン』が注目を集めています。クリエイティブファーム株式会社ミックス（以下、MiKS）が担当したこのプロジェクトは、山中温泉の美しい自然を取り入れた空間プロデュースを通じて、訪れる人々に四季折々の風情を楽しむ食体験を提供します。

山中温泉お花見久兵衛とは

このレストランは、有限会社吉花が運営する旅館『山中温泉お花見久兵衛』内に位置し、1958年の創業以来、多くの訪問者に愛されてきました。三代目の吉本龍平氏は「Ryokan Cafe」をテーマにし、カジュアルで気ままな温泉体験を提供しています。人々がそれぞれの温泉時間を楽しむことを重視した新しいスタイルで、訪れるゲストはリラックスしたひとときを過ごすことができます。

温泉旅館とアートの融合

『お花見久兵衛』が今回のリニューアルにアートを取り入れたのは、旅館が文化や情報の交錯点であることを再認識したからです。吉本氏は、アートを通じて文化への理解を深めてもらい、温泉旅館の新たな魅力を発信しようとしています。この試みは、観光客はもちろん、地域の人々にも新しい経験を提供することを目指しています。

リニューアルされた「やまなか鶴仙渓キッチン」の特徴

新たなレストラン「やまなか鶴仙渓キッチン」では、食事スタイルをハーフビュッフェ形式に変更し、従来の温泉旅館とは一味違った食体験を提供します。また、改修されたインテリアは「山中温泉の四季折々の自然」をテーマに、訪れた人々が自然を感じられるような空間作りがされています。

- 春夏エリア：温かみのある色合いやデザインで、春の花々や青々とした緑を表現。
- 秋冬エリア：落ち着いたトーンで、秋の紅葉や冬の雪景色を演出。

このように、それぞれのエリアで異なる自然の美しさを体感できる仕掛けが施されています。

アート作品と作家

山中温泉の自然の魅力を引き立てるために、MiKSは石川県にゆかりのある3人の作家に依頼しました。彼女たちはそれぞれ独自の技法で、自然の美しさを表現したアート作品を制作しています。

1. 九谷焼の丸谷牧子氏

九谷焼陶芸作家である丸谷氏は、自然の色合いや境界線を強調したランプシェードを制作。ブランド「M U M C A」の作品は、ポップな雰囲気が特徴で、レストランのコンセプトと調和しています。

2. 墨絵の坂野有美氏

画家の坂野氏は、鶴仙渓の山々の景観を独特の鉛筆や墨で表現した屏風パネルを制作。自然の美しさをテーマに、その魅力を引き出しています。

3. 染色の皆川百合氏

染飾家の皆川氏は、「春夏」と「秋冬」の二つのエリアにまたがるペンダント照明を手がけ、多彩な色使いで四季の移ろいを表現しました。そして、旅館スタッフと協力して染められたファブリックカーテンも、地域の特色を活かした作品となっています。

地域活性化への貢献

MiKSによるこのプロジェクトは、単なるレストランのリニューアルに留まらず、地域の文化や自然を再認識し、観光の新たな魅力を生み出すことを目指しています。訪れる人々は、温泉を楽しむだけでなく、アートを通じて文化的な体験を得ることができるでしょう。

今後も山中温泉が多くの人々に愛され続けるために、こうした斬新な試みが続いていくことを期待したいです。