DNPの書籍流通改革
2025-03-21 09:23:28

DNPが目指す書籍流通の未来、2025年までの取り組み解説

新たな出版流通の可能性を切り開くDNPの挑戦



大日本印刷株式会社(DNP)は、2025年2月から新たな出版流通プラットフォームの構築を開始することを発表しました。このプラットフォームは、書店員が自身の判断で売りたい本を選べる仕組みを提供し、書店を起点とした販促キャンペーンを可能にします。これにより、製造・流通の適正化を目指し、「本が読まれ続ける未来」を実現しようとしています。

書店を活性化する背景



出版業界では、書店の持続可能性が危ぶまれており、特に経済産業省が発表した「書店活性化のための課題」にも示されているように、いくつかの重要な課題が浮き彫りになっています。デジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れによるデータ管理の不備や、低い粗利率が書店経営を圧迫する原因となっています。加えて、委託販売制度による高い返品率も業界の懸念事項です。

これらの課題を解決するため、DNPは2024年7月に社内組織を立ち上げ、「本のつくり方」と「届け方」の構造的な改革を行うことを決定しました。

DNP復刊支援サービスの導入



このプラットフォームの第一弾として、DNP復刊支援サービスが展開されます。このサービスは、書店からの注文に基づいて重版未定の文庫本を復刊し、流通させるというものです。書店が在庫を持たず重版が未定な本に対して、書店員が「売れる」と判断した場合でも、現在の申し込み手続きでは高い負担が掛かります。DNPは、重版未定の書籍のデータを集め、書店に提供し、書店員が売りたい本を見つけ出す手助けをします。これが今後のプラットフォームの基盤となります。

復刊される本は、各書店が独占的に取り扱うことで、書店は自らの販売を強化できます。重版が実現した際には、出版社から該当書店に対して重版部数に応じたインセンティブを支払うシステムも構築されています。

新しい書店と出版社の連携



いるプラットフォーム上で、書店は自身が売りたい本を見つけ、出版社はその本を販売してほしい書店を探せる機能も重要です。これによって、書店の戦略的な価格設定や販促キャンペーンの実施が可能になり、出版社との連携を強化することができます。DNPはこのマッチング機能を通じて、書店と出版社の円滑なコミュニケーションを促進します。

デジタル製造と効率的な流通の実現



DNPが提供するデジタル製造技術では、書店の需要に応じて少部数から印刷し、迅速に納品することが可能です。このプリント・オン・デマンド(POD)技術を利用することで、販売までのフローは簡素化され、無駄を減らすことができます。書店は選書から発注、物流に至るまでをシンプルなプロセスで行えるため、売り損じや返品といった流通問題を軽減できます。

今後の展望



DNPは2026年度までにこの未来の出版流通プラットフォームを完全に構築し、多くの書店や出版社が共同で利用できるオープンなインフラを提供することを目指しています。また、著者や生活者の視点を重視しながら、本の「つくり方」と「届け方」の刷新も進めていくことを計画しています。

DNPは、出版業界全体の持続可能な発展に向けて、「対話と協働」を進めながら、本が読み続けられる未来を実現するために尽力していく所存です。これにより、書店の活性化と共に、読者にとってより良い読書体験を提供することが可能になるでしょう。


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会社情報

会社名
大日本印刷株式会社
住所
東京都新宿区市谷加賀町1‐1‐1
電話番号

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