OKIが開発した最先端の船舶分類AIシステム
沖電気工業(OKI)が新たに開発した「船舶分類AIシステム技術」は、海中で発生する音を学習し、船舶の種類を自動で判別する画期的な技術です。このシステムは、特に船舶の出入りが多い港湾や夜間、カメラでは捉えにくい状況下でも、持続的に船舶の分類を行うことが可能です。
仕組みと精度
この技術は、ディープラーニングを応用して構築されており、少量の学習データでも90%以上という驚異的な高精度で船舶を分類できることが実証されています。海中では、電波の減衰や光の散乱の影響を考慮し、音波を使用するアプローチが採用されています。水中マイクを使用して音を記録し、そこから抽出されたデータからAIモデルを形成します。
通常は多くのデータが必要となるディープラーニングですが、OKIのシステムは少量のデータでも優れた性能を発揮します。これは、データバリエーションを人為的に生成する「データ拡張」と呼ばれる手法と、一部のデータのみで学習する「半教師あり学習」を採用することで達成されました。
従来技術の限界
従来の分類方法では、人の熟練度に依存する部分が大きく、判断にばらつきが生じやすいという課題がありました。これに対し、OKIのシステムはAIに基づいているため、専門的な判断を必要とせず、安定した結果を提供します。また、人の作業を軽減することで、最近適応が求められている省力化ニーズにも応えます。
今後の展望
OKIは、今後共創パートナーを募り、この技術の商品化に向けたフィールドデータの取得や実践的な検証を実施する予定です。この新たな船舶分類AIの導入は、港湾管理や海洋調査など、さまざまな分野での応用が期待されています。
今回の開発に関する詳細は、OKIの公式サイトおよびテクニカルレビューに掲載されています。
OKIテクニカルレビュー243号においても、より深い技術的な情報が確認できます。