児童生徒の自殺対策に特化したブラウザ拡張機能「SOSフィルター」リリースへ - NPO法人OVAが記者会見を開催
近年、深刻化する児童生徒の自殺問題に対し、NPO法人OVAは1人1台端末向けブラウザ拡張機能「SOSフィルター」を開発し、7月17日にそのリリースに伴う記者会見を開催することを発表しました。
「SOSフィルター」は、児童生徒が1人1台端末で自殺に関するワードを検索した場合、その悩みに合った相談窓口やセルフケアの方法をまとめた情報をプッシュ通知する機能です。検索履歴や個人情報は収集されず、学校や管理者に通知されることもありません。児童生徒が安心して利用できる設計となっています。
会見では、自殺対策の専門家らが提言を発表
会見では、NPO法人OVA代表理事の伊藤次郎氏、NPO法人あなたのいばしょ理事長の大空幸星氏、北星学園大学社会福祉学部心理学科専任講師の髙橋あすみ氏など、自殺対策の専門家らが登壇し、児童生徒の自殺対策に向けた提言を行います。
伊藤次郎氏は、1人1台端末活用による児童生徒の検索行動から見える実態と、更なる推進に向けた提言を発表。大空幸星氏は、チャット相談の現場から見た児童生徒の自殺の実態と提言を行います。髙橋あすみ氏は、自殺に関するメディア報道・発信における課題と提言を発表する予定です。
児童生徒の自殺対策、1人1台端末の活用が期待される
近年、子どもの自殺者数は増加傾向にあり、2023年には過去最多水準を記録しました。こうした状況を受け、国や文部科学省は1人1台端末を活用した対策を強化しています。
「SOSフィルター」は、1人1台端末の活用を促進し、児童生徒の自殺対策に貢献する新たなツールとして期待されています。教育機関は無料でインストールが可能で、2024年7月中旬のリリースを予定しています。
会見概要
日時: 7月17日(水)14:00〜15:30(受付開始:13:45)
場所: 文部科学省記者クラブ
オンライン配信: Google Meet(参加する方に別途URLをお送りいたします)
登壇者プロフィール
NPO法人OVA 代表理事 伊藤次郎氏
精神保健福祉士。EAPプロバイダー、リワーク(精神科クリニック)で働く人のメンタルヘルス対策に従事。2013年6月末に若者の自殺が深刻な状況にあることに問題意識が芽生え、検索連動広告を用いて自殺ハイリスクの若者にリーチし、インターネットで相談を受ける「インターネット・ゲートキーパー」の手法を開発し、OVAを設立(2014年)。デジタルアウトリーチ・インターネット相談の実践・研究を行う。厚生労働省 自殺総合対策の推進に関する有識者会議委員、自殺総合対策東京会議委員等。
NPO法人あなたのいばしょ 理事長 大空幸星氏
「信頼できる人に確実にアクセスできる社会の実現」と「望まない孤独のない社会の実現」を目的にNPO法人あなたのいばしょを設立。孤独対策、自殺対策をテーマに活動している。こども家庭庁 こども家庭審議会こどもの居場所部会委員、内閣府 孤独・孤立の実態把握に関する研究会構成員、内閣府 孤独・孤立対策推進室 「孤独・孤立対策におけるサポーター養成のカリキュラム作成等に係る調査等業務」検討会委員、外務省 「在外邦人の孤独・孤立の実態把握のための調査」検討会に係る有識者委員、東京都こども未来会議委員など。著書に『望まない孤独』(扶桑社新書,2022) 『「死んでもいいけど、死んじゃだめ」と僕が言い続ける理由 あなたのいばしょは、必ずあるから』(河出書房新社,2022)。
北星学園大学 社会福祉学部 心理学科 専任講師 髙橋あすみ氏
NPO法人OVA認定研究員などを務め、2023年より現職。大学における自殺予防対策や有名人の自死報道後の視聴者の心理的影響などについて研究。近著に『メディアと自殺 研究・理論・政策の国際的視点』(共監訳,人文書院2023)『大学における自殺予防対策 理解と実践的アプローチ』(学苑社, 2024)。
博士(医学)。臨床心理士・公認心理師。日本自殺予防学会メディア表現支援委員会・広報委員会,日本心理臨床学会自殺対策専門部会,日本公認心理師協会社会貢献活動委員会,東京都自殺総合対策東京会議など。
「SOSフィルター」について
「SOSフィルター」は、児童生徒が1人1台端末で検索した際に、自殺に関するワードを検知すると、相談窓口やセルフケアの方法をプッシュ型で通知するブラウザ拡張機能です。登録されているキーワードは、「自殺」「学校での人間関係」「家庭での人間関係」「性暴力」「自傷」「精神疾患」の6つのカテゴリーで、合計4796個。対応ブラウザは「GoogleChrome」「Microsoft Edge」です。教育機関は無料でインストールが可能です。
「SOSフィルター」は、児童生徒が安心して利用できるよう、個人情報を収集せず、学校や管理者に通知されることもありません。児童生徒自身の援助要請・セルフケアの能力を高めることを目指しています。
NPO法人OVAについて
NPO法人OVAは、主に検索エンジンにて自殺関連用語を調べるリスクの高い方々に対し、検索連動広告でアウトリーチとインターネット相談を実施しています。2023年12月現在、約40の自治体・非営利活動法人において、検索連動広告を活用した自殺対策事業を展開しています。
児童生徒は1人1台端末を活用してさまざまな検索行動を行っており、自殺に関連したワードが調べられているという報告もあります。NPO法人OVAは、これまでの事業展開で培ったノウハウを活用することで、「リスクの高い生徒に対し、アプローチができないか」と考え、「SOSフィルター」を開発しました。
団体概要
設立:2014年7月18日
代表理事:伊藤次郎
本部所在地:東京都新宿区西新宿7丁目17番7号 廣田ビル401号室
事業内容:自殺リスクが高い人々への直接的・間接的な支援、また自殺予防の啓発、支援ネットワーク構築、社会に対する提言など、自殺予防に関するあらゆる取り組みを行う。
URL:https://ova-japan.org/