美肌AIコネクト、近畿大学のベンチャー企業として始動した背景と取り組み

美肌AIコネクト、近畿大学発の新しい美容医療スタートアップ

近畿大学医学部皮膚科学教室の主任教授、大塚篤司氏が代表を務める株式会社美肌AIコネクトが、このたび近畿大学のベンチャー企業登録制度に基づいて正式に登録されました。美容医療サービスへの相談件数の増加という現代の社会的課題に応えるため、同社はAI技術と医師の専門知識を組み合わせた、美容施術の透明評価プラットフォームを開発しています。

現代の美容医療の課題

近年、美容医療市場は急速に拡大しているものの、若手医師が十分な臨床経験を積まないまま現場に参入する「直美問題」が顕在化しています。この問題は施術の安全性や医師選択に対する不安を引き起こし、患者にとっての大きなリスクとなっています。さらに、SNSやインフルエンサーによる誇大広告や誤情報の氾濫も、利用者が本当に信頼できる医療サービスを見極めにくい環境を生んでいます。実際、2022年度から2023年度にかけて、独立行政法人国民生活センターへの美容医療サービスに関する相談件数は約1.65倍に急増しました。これらの背景を踏まえ、美肌AIコネクトは医師の専門性や施術内容に対する情報を可視化・透明化する仕組みの構築を目指しています。

資金調達とクラウドファンディング

美肌AIコネクトは、近畿大学での登録を契機に、2025年1月20日からクラウドファンディングを開始することを発表しました。このクラウドファンディングでは、美容医療の透明評価プラットフォームを開発するための資金を調達し、医師審査体制の強化などに投資する予定です。目標金額は500万円で、支援者にはデジタルレポートや教育セミナーへの招待、医療監督者限定セミナーへの参加券などが返礼として用意されています。

研究成果の社会実装と連携体制

美肌AIコネクトは、近畿大学と共同で研究を進め、アトピー性皮膚炎や乾癬などの疾患の研究成果を美容医療分野に応用し、信頼できる情報を発信していく方針です。また、今後は医学生や若手医師を対象とした教育・啓発プログラムを実施し、倫理や安全性についての理解を深めることで、医療の質向上に貢献する予定です。さらに、審査制の医師ネットワークを拡張し、登録される医師の資格や経験を透明に公開する仕組みを整えることも考えています。