経済的困難を抱える妊産婦への支援が求められる現状
近年、特に経済的な困難を抱える妊産婦たちへの支援が急務となっています。公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが実施した調査によると、応募者の54.1%が貯金ゼロであるとの結果が出ており、この結果は多くの家庭が厳しい経済状況に直面していることを示しています。また、産後の生活の維持には63%が児童手当や児童扶養手当に頼っている現状も浮き彫りになりました。
この調査は、妊産婦とそのパートナー、家族が抱える経済的な負担感や具体的な悩みを把握するために行われました。調査対象には若年妊娠や未婚・ひとり親、多子世帯、さらには知的障害・精神疾患を持つ妊婦、加えて在留資格が不安定な妊産婦たちが含まれています。本調査は、支援が求められている現場の状況を把握することを目的としています。
調査結果の概要
本調査では、応募者の83.5%が貯金額10万円未満であり、さらに9割近くが「妊娠・出産で思うように働けないため、お金が心配」と回答しています。こうした経済的な不安定さは、子育てにおける精神的なストレスを増幅させます。
産後の生活に関しては、61.8%の人々が児童手当や児童扶養手当の給付を利用する意向を示しており、また53.3%が出産後すぐに働き始めることを希望しています。このように、経済的な支援が必要であることが多くの妊産婦の選択肢の中に存在しています。
一方、養育費に関する取り決めについては、応募者のわずか4.8%のみが文書で取り決めを行っているという厳しい現実があります。このことから、多くの未婚・ひとり親家庭が相手方との取り決めを行わずに子育てを進めていることが伺えます。
今後の支援への取り組み
セーブ・ザ・チルドレンは、このような調査結果を基に、支援を必要とする妊産婦へのサポートを強化するための活動を行っています。特に、低所得世帯向けに紙おむつなどの育児用品を提供する取り組みを進めていることが強調されます。
具体的には、「ハロー!ベビーボックス」という新生児向け育児用品のセットを提供し、2022年からは計4,823箱を支援を必要とする家庭に届けてきました。この事業は子どもたちが安心して育つための環境を保障することを目的としており、今後も活動を拡大していく方針です。
2025年には、秋に新たな申し込みを開始し、定期的に育児用品を提供していく予定です。
まとめ
経済的に困難な状況にある妊産婦たちが抱える現実は、私たちが考えている以上に深刻です。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンによる調査は、これらの家庭がどのように支援を求めているのかを明らかにし、さまざまな取り組みを通じて、少しでもサポートを届けようという意志を示しています。私たち一人ひとりがこの問題に関心を持ち、サポートの輪を広げていくことが求められているのです。