ジャイアントパンダ「永明」の旅立ち
私たちの日常に笑顔を届けてくれたジャイアントパンダの「永明」が、2025年1月にその32年の生涯を閉じました。この知らせは、多くの人々に深い悲しみをもたらしましたが、同時に彼が私たちにもたらしてくれた喜びや貢献を思い起こさせてくれる機会でもあります。
永明は1992年9月14日に中国・北京動物園に生まれ、早くも1994年には日中共同繁殖プロジェクトの一環として日本へやってきました。彼の到着により、アドベンチャーワールドはピンダニアについての理解を深め、保護活動の重要性が広く認識されることとなりました。
アドベンチャーワールドでの永明は、その後多くの子どもたちを誕生させました。「梅梅」との間に生まれた6頭と、「良浜」との間に誕生した10頭、合計16頭の子どもの父親となったのです。特に彼の交配能力は高く評価されており、2011年には自然交配による初の成功を収め、28歳の時にはさらに新しい命を未来に繋げました。
永明の存在は、ただの動物園の一員に留まらず、日中友好のシンボルともなりました。彼の子どもたちのうち13頭は中国へと移送され、うち4頭が繁殖に成功して20頭以上の子孫を残しています。その他にも、彼の精液を利用した人工授精によって、遺伝的多様性の確保にも寄与してきました。これにより、永明は種の保存に貢献する重要な役割を果たしてきたのです。
2023年2月、永明は娘の「桜浜」と「桃浜」と共に中国の成都ジャイアントパンダ繁育研究基地へと移動しました。そこでの治療やケアを受けながら生活しつつも、年月が経つにつれ徐々に健康状態が悪化。2025年1月には倦怠感や食欲不振が現れ、獣医師チームの懸命な努力が続けられましたが、多臓器不全により永明は静かに旅立つこととなりました。
彼の死は只の終焉ではなく、彼が私たちに何を教えてくれたのかを思い出す瞬間に他なりません。永明は単に見た目の愛らしさだけでなく、その生涯を通した永続的な貢献、社会貢献、人々を結ぶ架け橋となったことは決して忘れることのない教訓です。
また、永明の功績が称えられ、2018年には種の保存に貢献したことで日本動物大賞のグランプリを受賞しました。彼に心からの感謝を捧げるべく、2025年2月15日から、彼が長きにわたり休んだブリーディングセンターに献花台が設置されます。彼を偲ぶ思いを胸に、訪れる人々にとって、静かに手を合わせる場となることでしょう。
永明、長い間本当にありがとう。あなたの思い出は、私たちの心に永遠に残ります。