「占守島の戦い」を巡る旅
2023年、長野県の19歳の高校生、牛谷雅さんは、自宅の清掃中に思いもよらない文書を発見しました。それは、曾祖父に関するもので、「昭和二十年八月十八日占守島戰鬪間行方不明となつた牛谷功社員の行動について」というタイトルが付けられていました。彼は、この見覚えのない名前を知っているはずもなく、この発見が自らの家族の歴史を探るきっかけとなるとは、想像もしていなかったのです。
牛谷さんは、その不思議な文書を通じて、知られざる曾祖父の存在に心を惹かれていきます。調査を進める中で、彼の曾祖父、牛谷功氏が「占守島の戦い」において、停戦交渉のためのロシア語通訳として従軍し、その戦いで命を落としたことが次第に明らかとなりました。驚愕の事実は、なんと日本の「終戦」からわずか3日後に起こった戦いであったのです。
この物語は、ただ歴史を探るだけでなく、戦争と平和、家族の絆についても深く考えさせられるものです。牛谷さんは、自らのルーツへと進む旅を通じて、この難しさと大切さを痛感しました。彼は執筆を進める中で、情報工学の知識を生かし、ウェブサイトを開発するなど多岐にわたる活動を行っています。
著者は長野工業高等専門学校に在籍中であり、学業の傍ら、靖国神社や国立国会図書館へも足を運び、さらに全国戦没者追悼式にも遺族として参加。これらの活動を通じて、曾祖父の足跡をたどることに情熱を注ぎました。そして、その成果として「第20回出版甲子園」への応募を決意し、見事準グランプリを受賞する運びとなったのです。
牛谷さんのデビュー作である本書は、彼自身の家族の物語を通じて戦争の現実と向き合い、平和の重要性を再認識させてくれる内容となっています。彼の体験を元にした物語は、多くの読者に勇気を与え、感動を呼ぶこと間違いなしです。
書籍情報
8月15日に終わらなかった戦争
・著者:牛谷 雅
・発売日:2025年12月17日
・定価:1,870円(税込)
・ISBN:978-4-413-23422-1
この書籍は、過去の歴史がどのように現在に影響を及ぼすのか、そして家族の絆がどれほど大切であるかを読み手に問いかけています。牛谷雅さんの等身大の思いをぜひお届けします。