入間市が提案する「副菜プラス1品」戦略
埼玉県入間市が新たに導入した健康プロジェクトが話題を呼んでいます。その名も「副菜プラス1品」。市民が朝食に副菜を取り入れることを促進するため、市内のセブン-イレブン店舗でスタートしたこの取り組みは、最新の健康意識を反映させたものです。令和4年度の健康実態調査によると、入間市民の31.8%が朝食に副菜を食べないという結果が出ており、これを受けて市は具体的な行動に移りました。
健康無関心層に向けた新たなアプローチ
従来の健康教育手法では高い健康意識を持つ人々には届く一方で、もっと必要とされる「健康無関心層」にはあまり影響を与えられないという課題がありました。それに対して入間市は、市民が日常として利用するコンビニエンスストアの棚を活用するという新たな手法を選びました。おにぎりやパンを手に取る瞬間に、「追加で副菜も」というメッセージを、直接目に触れる形で届けるのです。
この取り組みの一環として、POP掲示と市公式サイトへのQRコードリンクが設置され、栄養士が考案した簡単に作れる野菜レシピが紹介されています。これにより、市民がまさに「あと一品」の副菜を意識するきっかけをつくるのです。
野菜摂取量の減少に対する逆襲
日本全体の国民健康・栄養調査では、20歳以上の平均野菜摂取量が256.0g/日と減少傾向にあります。特に若年層は最も摂取量が少なく、今の世代がより意識して野菜を食べるような仕組みを作ることが急務とされています。入間市の「副菜プラス1品」の試みは、こうした日本全体の健康課題に対する地方からの挑戦とも言えるでしょう。
購買行動に影響を与えるナッジ理論
今までの「広報誌で呼びかける」といった手法では、必要な情報が届かないという問題がありました。しかし、入間市の戦略は、購買行動に直接的に働きかけることで市民の「気づき」を与えることを目的としています。この過程はナッジ理論に基づいており、自然な行動の変容をもたらすことを目指しています。健康福祉センターの管理栄養士が考えたレシピは、「コンビニで手に入るもので、簡単に作れる」ことを重視しており、市民に寄り添った内容になっています。
持続可能な食育エコシステムを構築
入間市はこの取り組みを通じて、さらなる食育に関わる活動を計画しています。今後はSNSを活用した食に関する投稿や、レシピコンテストを実施し、受賞レシピを地域で広く活用することで、持続可能な食育エコシステムを築くことを目指しています。また、他のコンビニチェーンや企業との連携も視野に入れており、「副菜プラス1品」は今後の健康づくりに向けた大きなステップとなるでしょう。
入間市の未来への取り組み
入間市は「Well-being City」を目指して、地域の健康と幸せを実感できる環境の整備に注力しています。この「副菜プラス1品」の取り組みもその一環として位置づけられ、地元の資源を活かした持続可能なまちづくりを進める姿勢が伺えます。また、狭山茶という地域資源を活かしながら、多様な文化を受け入れるまちの魅力を再確認する機会にもつながっています。
入間市の活動は、単なる健康促進にとどまらず、地域全体の価値を高めてくれることが期待されています。今後の展開に注目です。