elleThermo、海底熱水からの発電に成功
株式会社elleThermoは、中部沖縄トラフの海底熱水域を利用した発電実験において、海底環境下での発電に成功したことを発表しました。この実証実験は、商船三井が行っている国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の一環で行われています。
実験の概要
elleThermoは、NEDOの「水素社会構築技術開発事業」において、海底熱水を利用したモデルの実現可能性を評価するために、STC(半導体増感型熱利用発電素子)を提供しました。この実験では、海底1,000〜1,500メートルの深さで噴出する、300℃を超える高温の熱水を利用しました。熱水からのエネルギー密度は非常に高く、100メートル四方で約250MWに相当することがわかっています。
日本はこの海底熱水を新たな国産エネルギー資源と位置づけ、商船三井や国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)、東京海洋大学などと協力して実験を進めています。この実証実験は、東京大学の研究船「新青丸」の支援を受け、実施されました。
成功の詳細
2025年10月に実施されたKS-25-14次航海では、沖縄北西部の海底熱水サイトにて、ROV(遠隔無人探査機)を用いてSTCを熱水噴出孔に設置し、海底熱水の熱エネルギーを用いてLEDを点灯させるという課題に成功しました。これは、海水温度が5℃であった環境下でもSTCが劣化することなく、発電を実現した世界初の成果です。特筆すべきは、外部電源を一切使わずにLEDを点灯させることができた点です。
この実験の成功により、海底熱水を利用した発電や水素製造モデルの技術的実現可能性が高まったと捉えています。elleThermoは今後、STCの発電素子のさらなる高性能化を目指し、海底熱水という未利用の資源を活用した水素供給モデルの確立を目指していく意向を示しています。
STC技術の概要
STC(半導体増感型熱利用発電素子)は、色素増感型太陽電池の「色素の光励起」を「半導体の熱励起」に置き換えた技術であり、低温の熱から直接電力を生成することを可能にします。この技術は、室温程度の熱でも稼働するため、家庭や産業分野など様々な応用が期待されています。
企業情報
商船三井について
商船三井は1884年に設立され、900隻を超える船舶を運航する外航海運業を中心に、様々な社会インフラ事業を展開しています。2050年までにネットゼロ・エミッションの達成を目指し、自然エネルギーを活用した脱炭素化を進めています。
elleThermoについて
elleThermoは、安全性と資源の独立性を重視し、未利用排熱の活用による電力供給システムを社会に実装することを目指しています。
まとめ
elleThermoが実施した海底熱水を利用した発電実験は、再生可能エネルギーの新たな可能性を示す重要なステップとなりました。今後の進展にも期待が寄せられています。