株式会社ispaceの月面着陸ミッション分析
株式会社ispace(東京・中央区)のCEO、袴田武史氏は、2025年6月6日に実施されたMission 2 "SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON"の軟着陸未達に関し、詳細な技術要因分析を行ったことを報告しました。この分析は、日本橋にあるHAKUTO-Rミッションコントロールセンターでのフライトデータ解析を基にしています。
分析の結果、着陸失敗の要因として、レーザーレンジファインダー(LRF)のハードウェア異常が特定されました。本発表では当日の状況とその背景、今後の対策について詳しく説明されました。
着陸未達の状況
ミッション初日6月6日、着陸が未達となった原因として、ランダー姿勢がほぼ垂直に保たれていたこと、LRFの有効な測定値の取得が遅れたこと、月面着陸に必要な速度への減速が達成できなかったことが挙げられます。結果的に、高速でのハードランディングが発生した可能性が高いとされています。
技術的要因の解明
2025年6月24日時点でのデータ解析により、未達の真因がソフトウェアの問題ではなく、ハードウェア異常にあることが明らかになりました。特に、LRFの故障や性能劣化が疑われ、その影響を受けて月面への着陸失敗に繋がった可能性が高いとされています。ispaceでは、これに関する詳細な要因を絞り込み、今後の改善策を計画中です。
今後の対策と改善
発表によれば、次のような対策が考えられています。まず、LRFを含む着陸センサーの検証、選定、構成、運用を見直します。また、技術的強化策として、専門家による「改善タスクフォース」を設立し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)からの技術支援を拡充することで、さらなる性能向上を図る方針です。
後続ミッションへの影響
本技術要因分析により、Mission 3とMission 4に計上される開発費用が最大15億円程度増加する見込みです。この影響は、打上げ予定の2027年まで段階的に反映される予定ですが、2026年の業績予想に修正が必要なほどのものではないと考えています。
CEOのコメント
袴田CEOは、「6月6日の月面着陸再挑戦では、最大限の努力を示したが着陸できなかった結果について謝罪します。しかし、私たちはこの失敗を次への糧とし、信頼を取り戻すための努力を続けます」とコメント。失敗を単なる技術的ミスに終わらせず、挑戦を続ける姿勢が重要であることを強調しました。
ispaceの未来
ispaceは、宇宙に人類の生活圏を広げることを目指し、月面資源開発を進めているスタートアップです。これまでのミッションから得られたデータを活用し、NASAの「アルテミス計画」への貢献を目指す使命感を持っています。月面探索を行うために、独自のランダーとローバーを開発し続ける中、関係者との信頼回復を目指して日々精進する姿勢が求められています。
今後のミッションに期待が寄せられる中、ispaceは着実に進展を遂げていくでしょう。