医師の専門医資格に関する調査結果
株式会社メディウェルは、専門医資格について全国の医師2,090名を対象に調査を行い、その結果を発表しました。この調査には、医師のキャリア支援を行う価値観や、専門医資格の取得・維持に対する現状と課題が浮き彫りになっています。
専門医資格の現状
調査結果によると、約8割の医師が専門医資格を取得しているものの、その過半数(56.6%)が「資格取得や更新のための労力とコストはメリットに見合っていない」と感じています。この結果には驚くべき事実が含まれており、患者のために高い専門性を持たざるを得ない医師たちが、実際にはそのメリットを感じられない現状が伺えます。
負担の実感
専門医資格を維持することに対して、約6割超の医師が「維持・更新にかかる負担が大きい」と答えています。特に、リハビリテーション科や放射線科の医師たちはその負担を強く感じています。調査結果によると、リハビリテーション科の医師は65.0%、放射線科の医師は64.3%がこの負担について述べています。
他方、専門医資格を持つことにより「スキルや知識が向上した」と感じているのは49.2%にとどまり、一方で「給与や待遇が改善された」との回答はわずか13.8%に過ぎません。このように、専門医資格が必ずしも医師のキャリアアップにつながっていないことが明らかとなりました。
若手医師と女性医師への影響
特に若手や女性医師にとって、専門医資格の取得は大きなハードルとなっています。出産や育児といったライフイベントが影響を及ぼし、家庭と仕事の両立が難しいためです。一部の医師は、「育児をしながら専門医試験の勉強をするのは困難である」との意見も述べています。
専門医を持たない医師の意見
調査では、専門医資格を持たない医師の54.4%が「特にデメリットは感じない」と答えています。多くの医師が「機会やタイミングが合わなかった」とか「必要性を感じなかった」といった理由で専門医資格の取得に至っていないことがわかりました。
それに対し、中には「医療を真摯に行っていれば、専門医資格は必要でない」と考える医師もおり、医師たちの専門医資格に対する意識が多様であることが示されています。
専門医資格の価値
診療科によって、専門医資格の価値は異なるとの意見も出ています。消化器外科では22.7%、一般外科では28.9%が専門医資格を取得していることに対して、リハビリテーション科や放射線科では高い数値が出ている点が注目されています。これにより、医師は自分の専門性とキャリア形成のためにどの資格を選ぶべきか難しい判断を強いられています。
今後の展望
医師たちが実際に直面している課題に注目しつつ、専門医制度自体の見直しも求められます。医師が能力を発揮できる環境を整え、独自のキャリアを築くことが出来るような制度にすることが望まれます。専門医制度の今後がどのように変化していくのか、医師たちと共に議論を深める必要があります。この調査結果は、その第一歩となることでしょう。