障害年金不支給問題を考えるオンラインセミナーの実施報告
2025年5月31日、障害者向けの保険を取り扱うぜんち共済株式会社が主催するオンラインセミナーが開催されました。このセミナーは、障害年金に関する不支給問題を解決するための重要な議論を提供することを目的としています。
最近の報道により、日本の障害年金不支給件数が急増していることが明らかになっています。特に、精神・発達障害を持つ方々の不支給割合が前年と比較して2倍になっています。この問題を受け、共同通信社の市川記者が講師として参加し、国会で取り上げられるまでに発展しました。セミナーは、参加者からの多くの関心を集め、1,734名の申し込みがありました。
セミナーの背景
今回のセミナーでは、障害年金不支給の原因や制度の課題を共有することが重視されました。問題の根源には、判定医の裁量や制度に対する透明性の欠如など、さまざまな構造的な問題があるとされています。また、審査の際に、当事者の状況が正確に伝わらないことや、精神・発達障害に対する偏った見方が存在することも課題です。
講師陣の見解
市川亨氏(共同通信社 編集委員)
市川氏は、障害年金不支給の問題は「見えている世界が違う」ことが要因であると指摘しました。本人や家族は支援を受けながら生活を続ける中で、障害が軽くなったとの誤解が生じることが多いといいます。具体的には、次のような点が挙げられました。
- - 本人や家族の認識と審査側の見方にはギャップがある。
- - 審査の透明性が欠けており、審査医の氏名も非公開であることが問題視されています。
藤岡毅氏(弁護士)
藤岡氏は、障害年金は「生きるための権利」として位置づけられているにもかかわらず、実際には受給できている人がごく一部である状況を説明しました。約1,059万人の障害者のうち、障害年金を受給しているのは約238万人にとどまっています。支給を受けられない理由には、制度の複雑さや審査の透明性の欠如があると指摘しました。
高野淑恵氏(埼玉県手をつなぐ育成会 理事長)
高野氏は、障害年金の支給基準が低く設定されている現状を訴えました。軽度の障害を持つ方々に対しても支給が行われるべきだとし、判断基準の見直しの必要性を強調しました。特に、障害基礎年金は生きるための「命綱」としての重要性を訴えました。
参加者の反響
参加者からは、具体的なデータや制度の仕組みについての理解が深まったとの声が寄せられました。また、親同士のつながりの重要性や、当事者が自ら声をあげる必要性を実感した方も多く、今後の活動に繋げたいという意欲が感じられました。
今後の展望
このセミナーで得られた知見をもとに、障害年金制度の改善に向けた具体的なアクションを起こすことが求められています。人々が声をあげ、支援の仕組みを見直すことで、誰一人として取り残されない社会の実現を目指すことが重要です。ぜんち共済は、今後もこのようなセミナーを通じて、障害年金制度の理解を広めていくことを目指しています。
会社概要
ぜんち共済株式会社
- - 所在地: 東京都千代田区九段北3-2-5 九段北325ビル4階
- - 代表者: 代表取締役社長 榎本重秋
- - 事業内容: 少額短期保険業(関東財務局長(少額短期保険)第14号)
公式情報