調査の背景
株式会社ラクスパートナーズ(東京都新宿区)が実施した調査によると、ITエンジニアの採用において、エンジニアと非エンジニアの採用担当者との認識ギャップが大きな障害となっていることが明らかになりました。本調査には、約1,000人の採用担当者が参加し、その結果がどのような現実を浮き彫りにしたのか詳しく見ていきましょう。
調査概況
調査によると、企業が採用を強化したい対象は「経験3〜5年の中堅層」が最も多く、特に育成可能な人材に注目が集まっています。しかし、実際の採用成功率は限られており、雇用形態を問わず多くの企業が人材確保に苦戦しています。非エンジニアの採用担当者の約3割はIT知識に不安を抱え、その結果、候補者の見極めや現場との調整に課題を感じていることが分かりました。
採用ニーズと実績
調査によると、企業が最も採用を強化したい層は中堅層であり、具体的には『経験3〜5年』の人材が49.8%を占めます。この層は即戦力層よりも育成の余地があり、企業が求める柔軟性を持っています。一方で、採用の実績を見てみると、雇用形態を問わず、十分に採用できたと応えたのは3割程度にとどまり、多くの企業が理想的な人材の確保に苦労している現状が浮かび上がります。
ギャップの実態
エンジニアと非エンジニアでのギャップを感じた経験があるかという質問には、88.3%が『ある』と答えています。特に、技術評価や人物評価の基準の違いが実際の採用プロセスにおける障害となっているようです。非エンジニア採用担当者の約3割が「IT知識」に不安を感じており、これが誤解やコミュニケーションの断絶につながっています。
IT知識の壁
非エンジニアの採用担当者の多くがITに関する専門知識や用語に自信がなく、選考基準や評価基準の設計に難しさを覚えています。これは、候補者の志向や価値観を正しく把握することを難しくし、特に職種特有の専門用語が多く使用されるIT業界においては、評価基準の統一やコミュニケーションの促進の面で深刻な問題となっています。
まとめ
調査を通じて分かったことは、ITエンジニアの採用における構造的なすれ違いが、実際の採用活動に影響を与えているという現実です。企業が求める人材像と、実際に採用できている人材のギャップが明らかになった今、採用担当者の専門知識の底上げや、全体の支援体制の強化が急務です。ITエンジニア育成に向けたより効果的な採用戦略が求められている時代に、企業全体での意思決定の質を高めるための努力が不可欠です。