JTBが料理人不足を解決する新たな試みに挑む

株式会社JTBは、一部の地域における料理人の不足を解消するための新たな事業を立ち上げました。この新規事業では、全国各地の宿泊施設や観光地に、地域のニーズに適した料理人を派遣することを目指しています。まず第一弾として、東京に本社を置く株式会社リアルクオリティとの連携が発表され、岩手県釜石市の「宝来館」で特別なコラボレーションディナーが提供されます。このディナーは、3月1日から3月6日の期間限定で実施される予定で、新進気鋭の若手料理人と宝来館の板長が共演する特別プランとして企画されています。

観光業界が抱える課題

観光業界が直面している問題の一つは、特に地方の宿泊施設での料理人不足です。コロナ禍を経て、業界全体が人手不足に悩む中、インバウンド観光の急増が拍車をかけています。こうした状況が続くと、質の高い料理を提供できない宿泊施設が増え、観光客の満足度が低下する恐れがあります。また、地域の一次産業にも悪影響を及ぼす可能性があります。

JTBの新たな事業の概要

JTBは、全国の料理人と宿泊施設のネットワークを活かし、料理人不足を解消するためのモデルを構築します。地域ごとに抱える問題やニーズを吟味し、その解決に向けた料理人を派遣する仕組みとして展開されます。料理人の派遣にあたっては、地域の隠れた食材や特産物を発掘し、メニュー開発に生かすことにも重点が置かれます。この取組みは、地域の料理人のスキルアップや新たな出会いを促進し、質の高い食事を提供できる宿泊プランを生み出すことを目指しています。

このプロジェクトにより、観光地の「食」に関連する課題解決を図り、地方の中小規模の宿泊施設が食を通じて高付加価値化されることを希望しています。これにより、地元産品の消費拡大や食文化の向上が図られることが期待されています。

第一弾企画の詳細

この新事業の第一弾企画では、岩手県釜石市の「宝来館」で特別プランが販売されます。期間中には、若手料理人コンペティションで受賞歴のある大渕大樹シェフが、その地域の材料を活かしたオリジナルコースメニューを開発します。シェフは宝来館の板長と共同で進め、この特別な食の経験を提供します。板長の伝統的な和食技術と、大渕シェフのフレンチスタイルの技術が融合し、地域の食材が新たな価値を持つ料理として提供されることになります。

今後の展望

JTBは、この新事業を通じて、全国の宿泊施設や観光地における課題解決に向けたモデルを横展開していく考えです。地域の特性を理解し、適期の食事サービス提案を行うことにより、生産性の高い料理人の在り方を社会に示していく予定です。さらに、地域事業者との連携を重視し、観光地の価値向上や持続的な発展にも寄与していく考えです。

この取り組みは、JTBの「Living Auberge（リビングオーベルジュ）」サービスを活かしたもので、料理人や宿泊施設間の新たなコラボレーションを促進し、地域と観光業界が共に発展できる未来を目指します。