ウミツバメの分泌物
2026-08-31 11:43:20

オーストンウミツバメの尾腺分泌物のシーズン変化が解明される

オーストンウミツバメの尾腺分泌物研究



国立大学法人東京農工大学大学院の永岡謙太郎教授率いる研究チームが、伊豆諸島で繁殖するオーストンウミツバメ(Hydrobates tristrami)の尾腺分泌物の季節的な変化を調査しました。この研究は、ウミツバメ類の生理学的な役割や嗅覚の重要性を明示するものであり、特に育雛期間中に見られる分泌物の変化に着目しています。

研究の背景



尾腺は鳥類特有の器官で、羽づくろいの際に分泌物を羽毛に塗り付けます。これまでの研究では、尾腺分泌物が単に羽毛の微細構造を保つだけでなく、他の様々な機能を果たす可能性が示唆されています。ウミツバメ類はその嗅覚が非常に優れており、採餌や帰巣、個体識別でこの嗅覚を活用しています。特に、ウミツバメは特有の匂いを発し、コミュニケーションの手段としていることが知られています。

しかし、尾腺分泌物の化学成分や性別、季節ごとの変化についての情報はあまり多くありません。そこで、東京農工大学の研究陣は、オーストンウミツバメを対象に、繁殖期間中の尾腺分泌物の性差と季節的変化を調査することにしました。

研究方法と結果



研究は2023年から2025年にかけて実施され、オーストンウミツバメの繁殖地である伊豆諸島の祇苗島で行われました。環境省の許可のもと、66羽のオーストンウミツバメから尾腺分泌物と体羽を採取しました。調査に使用したため、ガスクロマトグラフィ質量分析計を用いて分泌物の化学組成を特定し、体羽から抽出したDNAで性別を判別しました。

結果、この研究では93種類の化合物が尾腺分泌物から確認され、主要成分として炭化水素や脂質エステル、脂肪族アルコールが含まれていることがわかりました。

特に、雌雄共通して育雛期において1-ヘキサデカノール(1-hexadecanol)の濃度が上昇することが発見されました。この物質は抗菌特性を持ち、繁殖期に増加することで羽毛の抗菌力を高めるとされ、匂いのカモフラージュとしても機能する可能性が存在します。

研究では、成鳥の尾腺分泌物を対象にしており、ヒナの羽毛への影響については今後の調査が必要です。また、尾腺分泌物の変化を引き起こす要因についても探求される必要があります。

今後の研究展開



今回の発見は、ウミツバメ類の尾腺分泌物の性差と季節変化に関する重要なデータを提供することになりました。今後は、餌や内分泌物質、尾腺に存在する細菌叢など、尾腺分泌物の変化に影響を及ぼす要素を探求することが必要です。また、匂いを媒介とした社会的行動の理解が進むことが期待されています。

この研究成果は、学術誌IBISに掲載されており、詳細は以下のURLから確認できます:リンク

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