横瀬町が正式に採用した「社会的備蓄住宅」モデル
埼玉県秩父郡の横瀬町が、一般社団法人日本モバイル建築協会の提案に基づく「社会的備蓄住宅」を正式に採用しました。この取り組みは、町民の生活環境の向上、移住の促進、そして地域の防災力強化を目指すものです。
プロジェクトの概要
本プロジェクトは、「省エネルギー型お試し体験住宅建設プロジェクト」として知られており、浦島設計事務所と向井建築有限会社の共同企業体(JV)が設計と施工を担当します。住宅の根幹となる技術思想や構造設計は、日本モバイル建築協会が監修した木造モバイル建築が採用されています。建設地は旧横瀬町役場跡地で、敷地面積は約670.62㎡です。
社会的備蓄住宅とは
このモデルは、平時には「お試し体験住宅」として、また非常時には応急住宅として使用することが可能な住宅群を地域に分散配置する社会インフラの構想です。具体的には、地域住民や移住希望者が居住を体験できる点が大きな特徴です。災害時には即座に応急仮設住宅や避難所として機能します。
建築の仕様と性能
新しい住宅の構造は木造平屋建てで、延床面積は61.05㎡に設定されており、4人世帯を想定しています。断熱性能はUA値0.34、耐震性能は耐震等級3と高い基準をクリアしており、太陽光発電機能や蓄電池を搭載し、全熱交換型の換気システムを設けています。
この建築は、短期間で施工が可能であり、さらに高い品質を確保しつつ、移設が可能な設計となっています。また、自家発電が可能なため、災害時の自立性も高いのが魅力です。
地域連携と持続可能性
このプロジェクトでは、秩父産の杉を素材として使用することで、地域の森林再生やCO₂削減に寄与します。さらに埼玉県が推進する地域循環型林業プロジェクト「活樹(KATSU-JU)」のモデルとしても位置づけられています。これにより、地域資源の地産地消が促進され、地域経済の活性化にも寄与すると期待されています。
副町長のコメント
横瀬町の副町長、井上雅国氏は、「このプロジェクトは、住環境の向上だけでなく、地域経済循環の促進にもつながるもので、私たちが重要視する多様な人々との交流を生み出す機会ともなります。」と述べています。 さらに、モバイル建築工法を活用することで、新しい有意義な取り組みに参画できることへの感謝の意を表しました。
災害対応と実績
日本モバイル建築協会は過去に、能登半島地震で261戸のモバイル仮設住宅を供給した実績があります。この知見を活かし、今回のプロジェクトでも設計監修が行われます。
全国展開への展望
今回の導入を皮切りとして、日本モバイル建築協会は全国の自治体や地域事業者との連携を強化し、“住める備蓄”としての新しい住宅インフラの展開を目指す考えです。これにより、全国的な普及やさらなる地域の発展が期待されています。
日本モバイル建築協会について
一般社団法人日本モバイル建築協会は、木造モバイル住宅の利用促進や災害住宅の設計監修を行う全国規模のネットワーク型団体です。地域工務店と連携し、レジリエントで持続可能な社会インフラの実現を目指しています。
お問い合わせ
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