株式会社ispace、三井住友信託銀行との新たな資金調達
株式会社ispaceは、2025年3月31日付で三井住友信託銀行から14億円の資金を調達することを決定しました。この資金は、同社のランダーやローバーの開発、運用に必要な運転資金として活用されます。今回の資金調達は、短期借入金の返済と長期借入金への借り換えを含んでおり、ispaceの財務基盤をさらに強化する狙いがあります。
ispaceは、これまでの短期借入金を長期借入金に変更することで、流動性と安定性を向上させ、迅速な経営判断を可能にすることを目指しています。この変更により、同社の宇宙開発に対する技術的な体制も強化され、拡大し続ける市場のニーズに応えるための準備が整いました。
資金調達の背景
今回の資金調達は、ispaceが同時に複数のミッションを進めていることを背景にしています。特に、劣後特約付ローンとして設定されたこの借入は、業績連動型の利率が適用され、10年間の長期ローンであるため、低コストで流動性を確保することが可能です。これにより、将来的な成長投資に必要な資金を効率よく配分することができる見込みです。
また、金融機関における資産査定では、この借入金が自己資本としてカウントされるため、株式の希薄化を避けつつ、実質的な財務体質を強化する効果も期待されます。
ispaceのビジョンと今後の展開
株式会社ispaceのCFO、野﨑順平氏は、「今回の借入は当社のビジョン実現に向けた評価をいただけた証」と述べ、月面輸送や宇宙インフラ開発の拡大を予定しています。同社は、日米欧の3地域でそれぞれの文化を活かしながら、宇宙開発を統合的に進めており、2025年1月には日本法人主導のミッション2の打ち上げを成功させました。さらに、2026年から2027年にかけてのミッション3及びミッション4(旧ミッション6)の実行を計画しています。
このように、ispaceは宇宙開発における持続可能なビジネスモデルを構築し、月面市場における需要に応える準備を進めています。特に、アメリカのNASAが推進する「アルテミス計画」への貢献を目指して、より精度の高い月面輸送サービスの提供を行っていく考えです。
まとめ
株式会社ispaceは、三井住友信託銀行からの資金調達を通じて、さらなる成長を遂げるための土台を築いています。潮流の変わりつつある宇宙開発の現場において、同社がその先駆者としての役割を果たすことが期待されます。今後の展開に注目が集まっています。