水問題への注目: 2025年の「世界水週間」に寄せて
2025年の「世界水週間」が近づく中、ユニセフ(国連児童基金)および世界保健機関(WHO)が発表した最新の報告書において、世界中の水供給と衛生環境における現状が明らかになりました。この報告書は、過去10年間の進展を振り返ると同時に、横たわる重大な格差にも焦点を当てています。特に低所得国や脆弱な地域では、基本的な水と衛生のサービスへのアクセスが困難で、数十億人がその影響を受けています。
安全な飲み水の不足
報告によると、世界の人口の約4人に1人、つまりおよそ21億人が安全に管理された飲み水にアクセスできていないというのです。その中で、1億600万人は未処理の河川や湖の水を吸引している現実があります。これは、健康を脅かすだけでなく、より深刻な社会的排除のリスクを生じさせています。
衛生環境の現状
また、34億人もなお安全な衛生施設を持っておらず、そのうち3億5,400万人は屋外での排泄を強いられている状況です。さらに、17億人は家庭で基本的な衛生サービスを利用できていないことが報告されています。
地域・人口別の格差
特に目を引くのは、後発開発途上国では、基本的な飲み水とトイレに関連するサービスの利用可能な人々の数が他の国に比べて2倍以上にのぼることです。また、手洗いの設備の利用可能人数は3倍以上の差をもたらしています。脆弱な環境下での安全な水の供給は他の地域に比べて38ポイントも低いというデータもあります。
女の子と女性に関する問題
活動家の視点からは、月経に関する問題も注目されています。70カ国のデータによると、多くの女性と女子は生理用品を持っていますが、必要な頻度で交換するための十分な在庫がない人々が圧倒的に多いのです。これにより、特に15〜19歳の女の子は月経期間中に教育や社会活動に参加しづらくなってしまいます。
水貯蔵の役割
また、サハラ以南のアフリカや中央・南アジアでは、女性と女の子が水くみの主な担い手となっています。彼女たちは1日に30分以上を水くみに費やしている現実があり、この負担は教育機会や社会的な参加に影響を及ぼしています。安定した水供給がなければ、健康的な生活の保障は難しいと言えるでしょう。
2030年を見据えて
SDGs(持続可能な開発目標)の達成期限が迫る中、2030年までに屋外排泄を根絶し、全ての人に水と衛生のサービスを普及するためにはさらなる加速が必要です。この分野での進展は、ますます厳しいものになるかもしれません。ユニセフの水と衛生担当ディレクター、セシリア・シャープ氏は、「全ての子どもに安全な水と衛生設備を届けるという約束は、現実から遠のきつつある」と警鐘を鳴らしています。
世界水週間の重要性
2025年の「世界水週間」は、温室効果ガスの排出削減やコミュニティのレジリエンス強化を目指す取り組みの一環として、重要な役割を果たします。様々なセクターのステークホルダーが参加し、持続可能な水供給と衛生の確保を議論し、次なるステップを模索します。私たち一人ひとりが、この問題を他人事として捉えず、行動を起こさなければならない時代がやってきています。
国際的な取り組みの中で水問題は深刻な課題として認識され続けていますが、我々は希望を持ち続け、具体的な行動を通じて変化をもたらすことが求められています。水は生活の基本であり、確保されるべき最も大切な資源です。