結婚式の常識を問い直す!「令和の結婚式を考える会」第3回会議レポート
「LINEでできる式場探し」サービス『トキハナ』を運営する株式会社トキハナが主催する「令和の結婚式を考える会」は、現代の結婚式のあり方について議論する有識者会議です。第3回会議では、起業家・江連千佳さん、性的マイノリティの権利擁護活動家・松岡宗嗣さん、ランジェリーブランド「feast」創設者・ハヤカワ五味さん、そしてトキハナ代表取締役社長・安藤正樹さんがオンラインで集結し、熱띤議論を展開しました。
結婚式の慣習、その意味を再解釈する
議論の焦点は、結婚式におけるジェンダー規範の再解釈にありました。江連さんは、「新郎新婦」という表現や、男性が主導的な役割を担う従来の結婚式における男女二元論的な考え方への違和感、松岡さんは、ブロッコリートスやファーストバイトなど、ジェンダー規範に基づく慣習が依然として残っている現状を指摘しました。
「結婚式は、家父長制や家制度の名残を感じることがあります。例えば、ブロッコリートスは子孫繁栄を願う意味合いがあると言われていますが、結婚していない男性への差別的な側面も否めません。また、ファーストバイトも、女性が食事の準備をする、男性が食べるものに困らせないというジェンダーロールを反映していると言えるでしょう。」と松岡さんは話します。
一方で、結婚式における慣習を、より自由な解釈で捉え直す動きも生まれています。例えば、腕をクロスさせて同時にファーストバイトを行うなど、性別に関係なく対等な立場を表現する新しい形も登場しています。
「花嫁の手紙も、家を出る女性が親へ感謝を伝えるという伝統的な意味合いに疑問を持つ人も多いかもしれません。新郎が手紙を読んでも良いはずです。家族やお世話になった人への感謝を伝えるものとして、誰でもが読むことができる形にすることで、より多くの人が共感できるのではないでしょうか。」と松岡さんは提言します。
結納についても、女性を物に見立てて物品を納めるという伝統的な意味合いへの違和感を指摘する声があがりました。現代では、その由来や意味を知らずに、単なる慣習やマナーとして受け入れている人も多いのではないでしょうか。
「結婚式場のプランナーが、これらの慣習の背景や意味を丁寧に説明することで、主催者も理解しやすくなると思います。ジェンダーへの関心がなくても、参列者のことを考えてジェンダーバイアスを無くしたいと考える人は多くいます。説明があると安心して結婚式を決められると思います。」と松岡さんは語ります。
「なぜそれをするのか」を伝えることの重要性
結婚式は、家族仲が良い前提で進むことが多く、親への感謝を伝えるのが当然という進行に、戸惑いを覚える人もいるようです。また、両家のバランスを取るのが難しい場合もあり、少ない側の人数に合わせて開催せざるを得ない状況も生まれます。
安藤さんは、「結婚式は、真っ当に育ってきたふたりじゃないとできない」といった意見や、ご祝儀の支払いをpaypayで行うと「新札の由来も知らずに」と批判される現状を例に挙げ、すべての習慣の由来を完全に理解することが必要なのか疑問を呈しました。
「結婚式慣習に対する価値観は人それぞれ異なるので、ふたりの思いを明確に伝え、ゲストの選択権を与えることで、温度差を小さくできるのではないでしょうか。」と安藤さんは提案します。
業界に求められる配慮
性的マイノリティの立場からは、結婚式業界では当事者に向けた結婚式の事例発信が少ないと感じているようです。結婚式における選択肢も、「新郎/新婦」「ドレス/タキシード」といった男女二元論、異性愛を前提とした二択に限られている点が課題として挙げられました。
「結婚式場のイメージ写真には、必ずしも男性と女性のカップルが映る必要はないと思います。同性カップルの事例や、あるいはどちらか片方のみを映すことで、多様な解釈を促すことができるのではないでしょうか。」とハヤカワさんは提言します。
松岡さんは、「多様なニーズに対応してもらえるかどうかが分かると安心しますし、こういった取り組みを積極的に行う式場が評価される風潮が広がってほしいと思います。」と付け加えました。
結婚式の新しいカタチ、業界全体で目指す変革
現代では、結婚式に対する価値観が多様化し、従来の形式にとらわれない新しい結婚式の形を求める人が増えています。しかし、世代や文化によって結婚式の慣習に込める意味や感じる価値観は異なるため、すべての人がその変革に賛同してくれるとは限りません。
すべての慣習を「時代遅れ」として無条件に見直すのではなく、その背景にある由来を新たな視点で再解釈し、現代の価値観に合わせてその意義を伝えることが重要です。ルールや形式を変える際には、結婚式の伝統を重んじる主催者もいる中で、業界としての伝え方が重要です。式場は新しいカタチの結婚式について丁寧に説明し、ふたりのサポートを行うことが求められます。
また、業界側も配慮を示し、例えば式場のイメージ写真において同性カップルの事例やさまざまなカップル像を反映させることで、当事者が「自分たちの存在が想定されているんだ」と捉えてもらえるような環境を作ることが必要だと考えられます。
トキハナでは、新しい結婚式のカタチを望むふたりが、結婚式準備で悩むことがないよう、プログラムを自由にカスタマイズできる「プランニングシート」の提供や、式場選びの段階で後悔のない選択ができるよう「ジェンダーフリーウエディング」などの結婚式スタイルを診断で提案しています。また、新たな結婚式のカタチという選択肢を広く浸透させるため、結婚式場をはじめとする業界全体を巻き込み、特化したブライダルフェアの企画や呼びかけなど、積極的に取り組んでまいります。
多様性を尊重し、すべての人が自分らしい結婚式を実現できるように、業界が新しい結婚式のカタチを積極的に提案していくことが大切です。
今後の展望
「令和の結婚式を考える会」は、今後も結婚式に関する不満や課題を解決するプロジェクトに取り組んでいきます。結婚式業界が、ジェンダーや多様性を意識し、誰もが自分らしい結婚式を実現できるような未来を目指し、積極的に変化していくことを期待しています。