職場の「静かなる分断」:誰もが抱える、しかし誰も語らない問題
「仕事は普通にできるけど、上司には本音は言えない」「同僚とは仲良くはできるけど、深い話はできない」。このような、関係性は悪くはないけれど、どこか距離感のある状態を、私たちは「静かなる分断」と呼ぶかもしれません。
人と組織の変革を支援するコンサルティング会社、株式会社ジェイフィールが実施した調査によると、多くのビジネスパーソンが、この「静かなる分断」を感じているようです。
調査では、上司や経営層との間に心理的な壁を感じている人が多く、その要因として「価値観の相違」や「高圧的な言動」などが挙げられました。特に、マネジャー層は上司からの強いプレッシャーを感じ、それが部下への高圧的な態度に繋がっている可能性も示唆されています。
分断がもたらすもの:エンゲージメントの低下とネガティブな感情
「静かなる分断」は、単なるコミュニケーション不足の問題ではありません。調査結果からは、分断が従業員のエンゲージメントや感情に悪影響を及ぼしていることが明らかになっています。
上司との分断度が高いマネジャーは、仕事や会社へのエンゲージメントが低く、ネガティブな感情を抱えている傾向が見られました。そして、マネジャーのエンゲージメントや感情レベルの低下は、一般社員層にも波及する可能性も指摘されています。
分断を克服するために:組織全体での意識改革と「組織感情プロフェッショナル」の必要性
ジェイフィールは、この調査結果に基づき、分断を克服するための2つの提言を提示しています。
提言1:マネジメントシェアリングの推進
マネジャーに過剰な負担をかけるのではなく、マネジメント業務を分担する「マネジメントシェアリング」を進めることで、マネジャーの負担を軽減し、イキイキと働ける環境を整備することが重要です。
提言2:職場内の理想を引き出し、つなげる「組織感情プロフェッショナル」の育成
調査では、多くの従業員が職場に対してポジティブな理想を抱いている一方、それを共有する場や機会が少ないことが分かりました。そこで、従業員の本音を引き出し、対話を促進することで、理想の職場像を共有し、分断を解消していく役割を担う「組織感情プロフェッショナル」の育成が急務となっています。
職場をより良い場所に:分断克服への道のり
「静かなる分断」は、個人の問題ではなく、組織全体で取り組むべき課題です。ジェイフィールの調査は、私たちに職場における分断の実態と、その克服に向けて何が必要なのかを明確に示しています。
組織感情プロフェッショナルの育成、マネジメントシェアリングの推進など、具体的な取り組みを進めることで、より良い職場環境を実現し、従業員のエンゲージメントを高めることが可能になります。