2024年上半期のショッピングアプリ市場動向
モバイルアプリの計測・分析を手掛けるAdjustが最近発表した「ショッピングアプリレポート」によると、2024年の上半期におけるショッピングアプリのインストール数が前年同期比で61%も増加しました。これは、Eコマースアプリ全体にとってもプラスの要因となり、インストール数は25%、セッション数は13%と、いずれも増加しています。
この成長の背景には、リテールメディアネットワークの拡大や、次世代のデジタルショッピング体験の導入、モバイルウォレットによる決済の普及があるとされています。特に、買い物の動向が変わりつつある中で、これらの要素が相まって、ショッピングアプリは消費者にとってますます欠かせない存在になっています。
ショッピングシーズンの影響
「ブラックフライデー」や「独身の日(Double 11)」をはじめとする特別なイベントが、インストール数を大幅に増加させていることも見逃せません。特にマーケターにとって、年末商戦の第4四半期が注目ポイントです。今年の調査では、約44%の消費者が10月またはそれ以前からホリデーシーズンに向けたショッピングを開始する意向を示しています。この傾向はもはや主流となりつつあるのです。特に2023年には、10月17日と18日のインストール数がそれぞれ1日あたり平均を40%および41%も上回りました。
主な調査結果
レポート内で紹介されている主要な調査結果は以下の通りです。
- - Eコマースアプリのアプリ内収益が前年比で36%増加。特にAndroidデバイスからの収益がシェアの60%を占めています。
- - 収益の急激な増加は2023年の第4四半期に顕著で、収益は11月で34%、12月で22%も月平均を上回りました。
- - 一方、アプリ滞在時間は平均して11.2分から10.5分へと減少。ショッピングアプリに関しては、さらなる15%の減少が見られ、効率的なユーザージャーニーの実現を示しています。
- - また、広告1000回表示あたりのインストール数(IPM)の世界中央値が2023年の1.94から、2024年上半期には2.28に増加し、広告キャンペーンの効果が向上しています。
しかし、ヨーロッパではプライバシーや広告配信規制の複雑化により、IPMが減少していることも注目です。
さらに、2023年第2四半期には34%だったショッピングアプリにおけるAppTrackingTransparency(ATT)オプトイン率が、2024年には50%に達しています。
未来のショッピング体験
Adjustのコンテンツ・インサイト部門ディレクター、ティアン・ウェッツラーは、ショッピングアプリが消費者のブランドとの接触方法や購買行動を変えていると指摘しています。AIやAR(拡張現実)を活用し、ソーシャルコマースやコネクテッドTVといった新しいチャネルを取り入れることで、マーケターは消費者とのエンゲージメントを深めることができると述べています。
競争が激化する市場では、顧客ロイヤリティが収益に直結するため、企業は消費者の多様な期待に応え、最新技術を駆使して新しい価値を提供していく必要があります。ショッピングアプリ市場が進化する中で、戦略的なチャネルミックスやパーソナライゼーション、データ分析が重要なカギを握ると考えられています。
結論
Adjustの日本ゼネラルマネージャー、佐々直紀は、ショッピングアプリがモバイル業界におけるイノベーションの最前線であると強調します。消費者の行動が急速に変化する中で、Adjustは新たなテクノロジーを導入し、シームレスで魅力的な体験を提供し続けることを目指しています。データに基づいた意思決定や包括的な戦略が成長を持続させるための要素であることを改めて認識させられます。詳しくは
こちらからレポートがダウンロード可能。