飛騨高山の伝統『花もち』が冬を彩る
岐阜県高山市で、冬の風物詩とも言える伝統的な正月飾り『花もち』の製作がピークを迎えています。この美しい飾りは、飛騨地方に古くから伝わるもので、雪に覆われた冬の環境において、特に重要な意味を持つものです。
花もちの魅力とは?
『花もち』とは、根元から出た枝に紅白の餅を巻きつけ、花に見立てたものです。縁起物として広く親しまれており、農耕の神様に感謝と豊作を祈願する「予祝儀礼」が起源とされています。この伝統は江戸時代に始まったとされ、現在では全国的に『餅花』と呼ばれる地域も存在しますが、飛騨地方では『花もち』として特別な存在感を放っています。
一般的には高さ30センチ前後のものが多く、手のひらサイズのものから、時には3メートルを超えるものまで多様な形があります。地域の人々にとってはただの飾りではなく、豊作と家族の健康を願う大切なものなのです。
花もちの製作現場
高山市江名子町に位置する『飛騨の花もち組合高山工房』では、11月中旬から本格的に花もちの製作が始まります。ここでは、地元の農家から集まった女性たちが中心となって作業を行い、もち米を使用して食紅で色をつける作業から始まります。餅を細長く切り、木の枝に美しく巻き付けていく様子は、確かな技術と情熱が感じられます。
乾燥が終わった花もちは、工房内や地元の朝市で販売されるほか、観光客が多く訪れる宿泊施設にも流通しています。また、東京や大阪、名古屋の市場にも出荷され、全国的にその人気を広げています。
躍動する冬の風景
今年は材料を集める際にクマの出没が影響していて、山奥まで入って行くことが難しくなっています。それに加え、燃料の値上がりなどさまざまな苦労がある中、工房代表の中野純江さんは「新しい年の豊作と家族の健康を願いながら作っています」と語ります。この言葉からも、彼女たちの思いが伝わってきます。飛騨の冬を彩る色とりどりの花もち。その可愛らしい姿は、地元の人々にとって特別な意味を持ち、訪れる観光客にも忘れられない思い出となるでしょう。
お正月を越えても
花もちはお正月が終わった後も、ひな祭りまで飾り続けることができます。この期間、枝から紅白の餅を取り除き、油で揚げて「雛あられ」として楽しむことができ、お祝いの食材としても重宝されます。飛騨の冬の象徴とも言える『花もち』は、ただの伝統飾り以上の存在であり、人々の生活に根付いています。
お問い合わせ先
住所:〒506-8555岐阜県高山市花岡町2-18
電話:0577-35-3134
電話:0577-33-6478
この冬、飛騨に足を運び、伝統の暖かみを感じる一時を過ごしてみませんか?