新素材Castreasureの誕生
2025-06-16 14:49:57

鋳造廃棄物をアップサイクルした新素材「Castreasure」誕生の背景

鋳造技術の革新と廃棄物の有効活用


近年、サステイナブルな技術の重要性が高まる中、鋳造工程で発生する廃棄物のリサイクルや再利用が注目されています。名古屋を拠点とする中央可鍛工業株式会社とSyncMOF株式会社が共同で開発した新素材「Castreasure(キャストレジャー)」は、廃棄物から新たな価値を生み出し、環境問題に立ち向かう革新的な素材です。

Castreasureの特徴と意義


Castreasureは、鋳造工程から生まれる不要物を原料にしているモノを指し、特に二酸化炭素をはじめとする複数のガスを選択的に吸着・脱着できる金属有機構造体(MOF)です。この素材は市販のMOFと同等以上の性能を誇るため、業界において注目されています。「Castreasure」の名は、「Cast(鋳造)」が意味する製造過程と、「Treasure(宝物)」が示す価値の創造を掛け合わせて名付けられています。

MOF技術とは


MOF(Metal Organic Frameworks)は、金属イオンと有機配位子から構成される多孔性材料であり、比表面積が非常に大きいのが特長です。この大きな面積ゆえに、特定の物質を効率良く吸着でき、化学的なプロセスや環境浄化など多岐にわたる分野での利用が期待されています。例えば、活性炭やゼオライトと比較しても、その効果は飛躍的に優れているため、より高性能なガス吸着装置としての応用が考えられています。

鋳造廃棄物のサーキュラーエコノミー


鋳造業界では、生成される廃棄物は主に処理業者により処理されています。しかし、今回の「Castreasure」の開発により、こうした未活用資源を新素材へと生まれ変わらせることが可能になりました。この取り組みは、持続可能な社会へ向けた重要な一歩となるでしょう。

Castreasureを用いることで、二酸化炭素の吸着や除去が可能となり、企業としてもカーボンニュートラルを目指す上での寄与が期待されています。また、CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)やDAC(Direct Air Capture)といった新しい技術にも応用できる可能性があり、こうした研究が今後の展開に作用するでしょう。

未来に向けての展望


今後は、Castreasureの形状加工や耐久性の確認を通じて、実用化のための開発が進められていく見通しです。この新素材は、2025年に開催されるEXPO 2025大阪・関西万博においても注目される予定で、そのPR活動の一環として動画や記事が公開されています。

中央可鍛工業株式会社とSyncMOF株式会社のコラボレーションによるこのプロジェクトは、単なる製品開発に留まらず、社会全体の環境改善に貢献するものとして期待されています。これからも両社の動向に注目が集まることでしょう。

企業について


中央可鍛工業は1944年に設立され、鋳鉄およびアルミニウム金属製品の製造を行っています。一方、SyncMOFは2019年に設立され、新しい多孔性材料の開発にチャレンジしています。両社がタッグを組むことで、鋳造業界のイノベーションが進むことが期待されています。


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会社情報

会社名
中央可鍛工業株式会社
住所
愛知県名古屋市中川区富川町3丁目1番地の1
電話番号
052-805-8600

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