学生のアイデアで生まれたつつじが丘保育園
愛知県豊橋市に、新たな保育園「つつじが丘保育園」が開園しました。この施設は、全国の学生から募集した建築アイデアを基にしており、2025年にその先進的なデザインが実現しました。「風土の中のさんぽミチ」というテーマの下に設計された木造の園舎は、明るい中庭と遊びやすい環境を兼ね備えています。
この保育園は、老朽化した新吉保育園を移転する形でつつじが丘校区で新たに建設されました。豊橋市が2022年に開催した「とよはし公共建築学生チャレンジコンペティション」で、114組の提案の中から選ばれたのが中山朋紀さん、原希望さん、永井里奈さんの提案です。彼らは設計だけでなく、基本設計にも携わり、具体的なイメージを形にしました。
「風土の中のさんぽミチ」には、園児たちが毎日の発見を通じて成長できる保育園を目指す姿勢が込められています。2023年12月に着工し、完成した園舎は木造の2階建てで、延べ面積は907平方メートル。特に中庭「みんなのニワ」を囲むように配置された縁側「さんぽミチ」は、長い軒が日差しや雨を遮る設計になっており、子どもたちが安心して遊ぶことができます。
保育室は開放感があり、木の優しい暖かさを感じられる空間となっています。遊びの場には、屋外の小庭「隠れニワ」があり、広場との相互関係が園児の自主性と創造性を育む環境を提供します。一方、この保育園では通常の保育だけでなく、在籍していない子どもを一時的に預かるサービスや、病気の子どもを預かる「病児保育」も新たにスタートします。これらのサービスは2025年5月7日から提供される予定です。
2024年4月2日には、開園式が開催されました。この式典には市の関係者や園長、そして園児たちが集まり、長坂尚登市長や髙田洋子園長がテープカットを行いました。市長は、子どもたち一人一人を尊重する方針を示し、楽しい保育環境の必要性を強調しました。髙田園長も、子どもたちの遊ぶ姿を楽しみにしていることを述べ、新しい保育園での未来への期待を語りました。
建設に関わった学生たちも式に参加し、中山さんは理想的な運営を願っており、原さんも豊橋の風土に触れながら育ってほしいという想いを語りました。閉園した新吉保育園からは、絵本やおもちゃが新たな保育園に贈られるという温かい交流も行われました。
つつじが丘保育園は、ただの保育施設ではなく、地域と学生、子どもが共創する未来を描いた空間なのです。