2025年問題が迫る中、企業が抱える健康保険の重圧と対策
日本は少子高齢化が進み、2025年には75歳以上の高齢者が2150万人を超えると予測されています。特に、「2025年問題」として5人に1人が高齢者になる現状が問題視されており、この状況において主に現役世代が医療費を負担しています。健康保険組合や協会けんぽなどを通じて、保険料が大きな負担となり、全国の健康保険組合の約8割が赤字の見込みです。
最近、遠隔みまもり看護株式会社が行った調査によれば、700名以上の企業で働く経営者や人事担当者の約51.5%が健康保険組合の解散を検討しているとのことです。この背景には、企業が負担する医療費が増加していることが影響しています。調査結果では、健康保険組合の医療費の自社負担が7%〜9%に達している企業が最も多く、経営者たちは経済的なプレッシャーに悩んでいるのが現状です。
企業の負担が重く、対策は?
調査において、82.8%の回答者が医療費の企業負担増加を実感していると答えました。この現状を受けて、企業ではどのような対策を講じているのでしょうか?
最も多いのは「健康経営の推進」で、48.9%の企業がこの戦略を選んでいます。健康経営により従業員の健康を促進することで、医療費を従来よりも効率的に削減しようと努力しています。他にも、経費の削減として人間ドックの補助打ち切りや保育所の売却を挙げる企業もあり、これもまた従業員にとっては打撃となります。
企業内で健康課題が多くの支持を集める一方、健康意識が低い従業員であれば、効果的な対策を実施するのが難しい状況も見受けられます。財政的な負担が大きいため、対策が限られてしまう側面も否めません。
企業が採用したい保健室制度
企業が医療費を削減する手段として、「企業内保健室」の活用が広がりを見せています。健康診断データを基に、従業員の健康状態を把握し、適切なサポートを行うことで、病院へ行く頻度を減らすことが可能です。
調査によれば、従業員の多くは企業内保健室に対し、1回あたりの費用として「10,000円以上15,000円未満」が最も支持を集めており、企業にとって導入のしやすい範囲であると言えます。さらに、会社負担で扶養家族の健康診断を受けているのは約30%に過ぎず、ほとんどの方がその利用条件を理解していないことも明らかになりました。特定保健指導については、必要性を感じていない方も多く、知識の普及が急務であることも浮き彫りになりました。
健康診断の利用促進と社会保険料の軽減
調査で78%の従業員が、「社会保険料率が下がるなら健康診断や特定保健指導を利用したい」と回答しました。これは、健康診断や指導の利用促進が必然的に企業の医療費を軽減する可能性を示唆しています。
これまで行うべき健康診断の重要性が再評価される中、遠隔みまもり看護株式会社はこの問題に対し、オンライン形式で健康サポートを提供しており、新サービス『企業内保健室』の開始を発表しています。これにより、従業員はかかりつけの保健師から常に健康管理や予防策に関するアドバイスが受けられるようになります。経営者や従業員にとって、より質の高い健康管理体制の構築が期待されます。
まとめ
調査の結果、企業が健康保険に対する不安感を抱いている背景が明らかになりました。コスト削減のために多くの企業が努力を重ねている中、働く人々の健康管理をどこまで充実させられるかが今後の企業経営にとって重要な課題となるでしょう。企業内保健室などの制度をうまく活用しながら、従業員の健康意識を向上させ、さらなる医療費削減につなげるための取り組みが求められます。