ASDと子育て調査
2020-03-26 16:38:19
自閉症スペクトラム(ASD)についての理解と保護者のニーズ調査結果
自閉症スペクトラム(ASD)についての理解と保護者のニーズ調査結果
2020年1月に実施された「ASDと子育て実態調査」が、全国の保護者を対象に対話的形式で行われました。この調査は、博報堂のPechat開発チーム、博報堂こそだて家族研究所、LITALICO発達ナビの協力によって行われ、20代から60代の保護者合計13,262人からの回答を基にしています。
調査の概要
調査は、ASD(自閉症スペクトラム)と診断された子どもを持つ家庭や、診断はされていないが疑いがある「グレーゾーン」の子どもを養育する家庭など、さまざまなケースを対象としています。特に、ASDと診断されたお子さんは0~22歳までの同居の子どもの中で約2.3%(推計60万人)に該当し、グレーゾーンの子どもは5.4%(推計138万人)と推計されています。合計すると、約13人に1人はASDまたは疑いのある子どもを抱えている計算になります。
認知度と理解度
調査結果によると、ASDという名称自体の認知は高く、典型発達の子どもを持つ保護者の80%以上が知っていると回答しています。しかし、その特性について詳しく理解している人は約6%に過ぎないという現実があります。このことは、ASDの特性や実際の育児に関する情報が不足していることを示しています。
保護者が感じる理解不足
ASDと診断された子どもを持つ保護者の約半数は、「世の中から正しく理解されていない」と感じています。また、ASDについて「知る・学ぶ機会がほしい」と回答した人数は、グレーゾーンの子どもを持つ保護者が最も高く36.7%に達しました。このことから、診断がなされていない場合、情報が得にくく、周囲に相談する先も少ないため、このグループの保護者がより強く学びを求めていることが窺えます。
ASDの特性への理解のギャップ
調査では、ASD特有の行動や特性への理解のギャップも浮き彫りになっています。多くの保護者は、「社会的なコミュニケーションが難しい」「変化に強くこだわる」といった基本的な特性については知識を持っていますが、それ以外の医学的知識や、適切な支援方法については知識不足が目立ちます。
特に「知的障害やADHDとの共存」「行動の切り替えにおけるサポートの重要性」「発達特性と周囲の理解の関係性」など、周知されていない重要な要素が多く存在しています。これらに対する理解を深め、実際の子育てに役立つ情報を提供することが求められています。
専門家の関与
この調査は、発達心理学の専門家、菅佐原洋氏の監修のもと行われました。菅佐原氏は、ASDを持つ子どもへの直接の支援や教職員への指導経験が豊富です。彼の専門知識がこの調査に深みを持たせています。
今後の展望
なお、今後の調査結果としては「ふかい!すごい!『好き』のパワー」と題した、ASDの子どもが持つ特性の強みについてのリリースが予定されています。ASDの子どもを持つ保護者がどのように子どもの特性を育て、強みに変えていくかについても研究が進められることが期待されます。
本調査結果の詳細や今後の情報については、教育関連のWEBサイト「教えて!はったつ博士」や博報堂のホームページからご覧いただけます。
会社情報
- 会社名
-
株式会社博報堂
- 住所
- 東京都港区赤坂5丁目3番1号赤坂Bizタワー
- 電話番号
-
03-6441-8111