医療現場におけるAI音声認識の重要性
医療の現場では、診療やカンファレンス、インフォームド・コンセントなど、さまざまな場面で記録が求められます。しかし、限られた時間の中で、医療スタッフは正確な記録を残すために多くの労力を費やしています。特に、インフォームド・コンセントの際には、「言った・言わない」の問題が発生することが多く、それがストレスとなることも少なくありません。この背景から、音声認識技術への期待が高まっています。
インタビュー: 小児外科医とAI研究者の視点
最近、mocomoco株式会社の音声認識AI「mocoVoice」の研究開発に関する対談が行われました。広島大学病院の小児外科講師である佐伯勇医師と、mocomocoの取締役CROである大西一誉氏が、医療現場におけるAIの可能性について深掘りしました。
佐伯医師は、診療時に使用されるAI文字起こしサービスの限界について語ります。一般向けのサービスでは医療用語の誤認識が多く、修正作業に膨大な時間がかかってしまうといいます。しかし、mocoVoiceは特化型の医療モデルで、特に精度の高い正確な文字起こしが可能になっています。
修正作業の大幅な改善
このAIモデルと共同開発を進める中で、修正に要する時間が劇的に改善されました。一般のサービスでは1ページあたり10回以上の修正が必要でしたが、mocoVoiceでは1〜2箇所、時には修正不要まで達しています。佐伯医師は「このままでは身が持たないと思っていた修正作業が、ようやく現実的に続けられるレベルになった」と述べています。
専門用語の取り扱い
小児外科で使われる特定の用語に対しても、mocoVoiceは特化したチューニングが施されています。「大泉門」や「アプガースコア」、「うんち」など、実際の診療に必要な用語が正確に認識されることは、診療の進行において非常に重要です。これにより、言葉のあいまいさによる誤解も避けられるようになります。
インフォームド・コンセントとAIの関係
インフォームド・コンセントのプロセスにおいては、患者とのコミュニケーションが不可欠です。この対談では、AIが患者の言葉をどのように取り扱うべきか、具体的な議論が繰り広げられました。AIが意図的に言葉を解釈するのではなく、あくまで記録として残すことが、医療現場において重要な役割を果たします。
今後の展望
mocomocoは、今後も広島大学病院との連携を基にして医療における音声認識技術を進化させ、さらに多くの医療従事者がこの技術を便利に使えるように努めていく方針です。技術の進歩により、医療現場がより円滑に機能することが期待されています。
まとめ
AI音声認識の導入は、医療現場に革命をもたらす可能性を秘めています。特に、mocoVoiceのような専門特化したサービスを通じて、医療従事者の負担を軽減しつつ、患者とのコミュニケーションの質向上に貢献できることが疑いないといえるでしょう。今後の進展に注目が集まります。