国交省、公共工事の賃金・労働実態を調査開始へ

国土交通省、公共工事の賃金・労働実態調査を開始

国土交通省は、令和7年11月4日より、直轄土木工事における「賃金・労働時間等の実態調査」を開始することを発表しました。この調査は、公共工事に従事する者が適正な額の賃金を支払い受けられるようにするためのものです。受注者の協力の下で行われるこの試行は、技能労働者への賃金の支払いや労働時間の実態を把握し、公共工事の品質確保を促進することを目的としています。

賃金・労働時間調査の背景と目的

公共工事の品質確保に関する法律の第27条に基づき、国は適正な請負代金と賃金が支払われるよう努めることが求められています。これを受けて、国土交通省は受注者と協力し、下請業者への賃金支払いや労働時間の実態を把握することに努める方針を示しています。この調査を通じて、発注者が賃金や労働時間を正確に把握し、受発注者間での「見える化」を進めることが期待されています。

調査の具体的な内容

今回の調査には、以下の三つの主要なポイントがあります。
1. 実労働時間の調査：実態調査を円滑に行うための仕組みを構築する。
2. 結果の算定方法：調査結果の算定方法を明確にする。
3. 労務費の確保：賃金の原資となる労務費を確保するため、積算上の作業時間を提示する。

これらのポイントを踏まえ、受注者の希望に基づいた調査が行われます。この試行の目的は、調査方法や結果の算定方法を確認し、今後の改善へとつなげることです。加えて、将来的には調査結果を業者選定に活用することも計画されています。

公平な競争環境の実現に向けて

この調査によって、特に下請業者への労務費の支払状況が把握されることで、賃金を原資とした低価格競争を抑止する効果が期待されています。価格や技術での真正な競争を促進し、公正な競争環境を整備することが目標です。また、技能労働者への適正な賃金が保証されることで、質の高い公共工事の担い手を確保することにも繋がります。