「World Quality Report 2025」で明らかになる品質エンジニアリングのAI導入現状

近年、品質エンジニアリング(QE)における生成AIの導入が急速に進んでいる一方で、全体的な企業レベルでの実装は依然として困難が伴っています。この現象を浮き彫りにしているのが、OpenTextとCapgemini合同で発表された「World Quality Report 2025」です。

このレポートによると、約90%の組織が品質エンジニアリングの実施に生成AIを積極的に取り入れているものの、実際に全社的な展開を達成しているのはわずか15%という結果が示されています。この数値からもわかるように、AI導入に向けた準備状況と実際の実行には大きなギャップが存在し、企業は実装段階において複雑な課題に直面しているのです。

OpenTextのバイスプレジデントであるTal Levi-Joseph氏は、「品質エンジニアリングはAIによって新たな局面を迎えつつあります。組織は変革を受け入れることが急務です」と述べ、AI主導の品質管理が求められる背景を語ります。特に、AE(アプリケーションエンジニアリング)の分野では、AIがソフトウェア開発の全ライフサイクルにおいて品質管理を行うための新たな道を開くことが期待されています。

さらに、CapgeminiのMark Buenen氏は、生成AIが組織のビジネス目標と整合することが重要であると強調しました。技術の進歩が目覚ましいものの、依然として多くの組織がその効果をビジネス戦略に結びつけられずに苦しんでいます。

レポート内での調査結果には以下のようなポイントがあります:
1. 導入状況:89%の回答組織が生成AIを活用したワークフローの導入を進め、37%が本番運用中、52%が試験運用中であることが示されています。
2. スケールの壁:全社的な導入を達成している企業は15%であり、他の43%はまだ実験段階にあり、30%は限定的なユースケースでのみ運用しています。
3. ユースケースの発展:テストデータの生成やレポート作成に加え、AIが入力データの最適化にも貢献しつつあります。
4. 現業運用の成果:組織は平均して19%の生産性向上を報告しているものの、その結果にはばらつきがあり、約3分の1の組織はほとんど効果が見られないとも報告されています。
5. 新たな障壁:データプライバシーや統合の複雑さは大きな懸念事項で、これが新たな課題として浮き彫りになっています。
6. スキルギャップの継続:AI/MLに関する専門知識を欠いているとする企業が50%に上るという現実は、教育やスキルアップの必要性を示しています。

レポートの最後には、組織がAIの真の力を引き出すためには、技術投資のみならずスキルやガバナンス、データの整合性を高める必要があると指摘されています。成功する組織は、AIの技術を導入するだけでなく、それを支える基盤を強化し、きちんとした戦略に基づいて実行することが求められます。特に、人間の専門知識とAIの力を融合させる協調的なアプローチが、今後の品質エンジニアリングにとって鍵を握ることでしょう。

これまでの調査からも、今後の品質エンジニアリングの発展を見据えた戦略の重要性が再認識されることとなりました。

最後に、全体のレポートはOpenTextのウェブサイトからダウンロード可能です。興味のある方はぜひご覧になってください。

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