レイラ・ピニェイロとヒカルド・バセラールが贈る新アルバム『ドナート』
ブラジル音楽界の実力派アーティスト、レイラ・ピニェイロとヒカルド・バセラールがタッグを組み、ジョアン・ドナートの名曲を集めたアルバム『ドナート』をリリースしました。このアルバムは、ドナートの生誕90周年にあわせたもので、彼の作品に独自の視点を加え、新たな解釈を提供しています。アルバムは今月27日から配信がスタート。
ジョアン・ドナートへのオマージュ
ジョアン・ドナート(1933-2023)は、多くのアーティストに影響を与えた偉大な音楽家で、彼の作品はシンプルながらも深い情感を持つことで知られています。今回のアルバムは、ドナートの楽曲に新しい光を当てることを目的としています。レイラは過去にドナートの作品を何度も演奏した経験があり、彼に対するリスペクトと共鳴を表現したいと考えました。
ヒカルド・バセラールがこのプロジェクトを提案した際、レイラは挑戦的な機会と捉え、彼と共に制作することを決意しました。レコーディングはヒカルドのジャスミンスタジオで行われ、その環境が二人のクリエイティビティを引き出したといいます。
自然な流れの中で
レイラとヒカルドは、アルバムの制作過程を「自然な流れ」と表現しました。レコーディング初日には、さっそく「ルガール・コムン(Lugar Comum)」「ア・ハン(A Rã)」の2曲を録音しました。ヒカルドは、「レイラとの演奏とレコーディングはスムーズに進行し、彼女の厳密な要求とアーティストとしての感性が信頼感を生んでいた」と語っています。
レイラもそのスタジオの設備やヒカルドの取り組みに感銘を受け、「ここは私が経験した中で最も素晴らしいレコーディングスタジオの一つだと思った」と明かしました。
トリオによるアレンジ
アルバムにはチェリストのジャキス・モレレンバウムも参加し、さらなる深みと色彩を加えました。彼らはトリオとして作品を深く読み解き、アレンジを共に作り上げました。ヒカルドは、「モレレンバウムの貢献は大きく、私たち三人が協力してあらゆる面を追求した」と語っています。レイラも、「私たちのコラボレーションが作品にどのように生かされたかが具体的に感じられた」と振り返ります。
アルバムの魅力
本アルバムには、ドナートと共作した楽曲が12曲収録されています。中の1曲「コンタス・ジ・ヴィードロ(Contas de Vidro)」は、初めての録音となる未発表曲で、他の作品と同様に新たな解釈が施されています。レイラはこの曲について「ドナートが私に喜ばせるために贈ったような作品だった」と語り、大切に仕上げていきました。
音楽の未来へ
『ドナート』は、レイラとヒカルドの入念なアプローチと情熱によって生み出された作品で、聴く人々に新しい美しさを提供することを目指しています。レイラはこのアルバムが次世代のアーティストたちにドナートの素晴らしさを伝える役割も果たすと考えています。「このアルバムは、見たことのないジョアン・ドナートの肖像画のようだ」と彼女は強調します。
アルバム『ドナート』は、ブラジル音楽の魅力とその奥深さを再発見する旅に誘い、アートの力を再確認させる作品と言えるでしょう。