2025年障害者雇用の現状分析と企業の取り組み課題

2025年の障害者雇用において、スタートラインが実施した調査によると、約7割の企業が採用計画に遅れが生じていることがわかりました。この数値は、障害者雇用に関わる担当者の多くが、社内の体制や理解の不足に直面していることを示しています。

調査結果の概要

スタートラインが2025年11月14日から11月17日にかけて、従業員100名以上500名未満の企業で障害者雇用に携わる担当者100名を対象に実施したこの調査では、各企業の障害者雇用に関する課題や状況が浮き彫りになりました。

1. 大きな課題は「受け入れ部署の理解不足」

調査によると、最も多くの企業が苦労した問題は「受け入れ部署の理解不足」であり、31%の企業がこの未理解による影響を挙げています。自社基準に合致する人材の不足という別の問題も抱えており、これが採用計画の遅れにつながっていることが明らかになりました。

2. 離職の増加とその理由

離職状況に関しては、約3割の企業が前年よりも増加したと回答しています。主な離職理由は「ストレスや不安などのメンタル面の負担」（22%）や「物理的な職場環境」（20%）、さらに「上司や同僚との人間関係のトラブル」（19%）といった心理的・環境的要因が上位を占めました。

3. 定着支援の成功事例

調査の結果、定着支援において特に効果があった施策として「キャリア形成支援」と「健康管理・メンタルケア」が同率で17%という内容が得られました。このことから、企業は障害者の雇用だけでなく、彼らの健康面やキャリアの成長を支援する重要性に気づいていることが分かります。

課題の本質

障害者雇用の取り組みを成功させるためには、ただ単に人材を採用することに留まらず、社内体制の見直しや受け入れ基盤の強化が求められます。企業は、「法定雇用率達成」の目標だけでなく、長期的に人材育成や組織活性化に繋がる取り組みを進める必要があります。そして、メンタルケアや職場環境の改善といった、「人」に対する支援を継続して行うことが求められています。