アマミノクロウサギの謎と猫駆除の必要性
環境省が「生態系被害防止外来種リスト」の改定を進める中、イエネコおよびノネコが「防除推進外来種」として追加される方針が打ち出され、そのことに対して公益財団法人どうぶつ基金(以下、どうぶつ基金)が異議を唱えています。どうぶつ基金は、イエネコやノネコの駆除が本当に必要なのか、科学的な根拠に基づいたデータが不足していると指摘しています。
アマミノクロウサギの増加率
どうぶつ基金は、環境省が発表した資料を精査した結果、アマミノクロウサギの数が2017年には11,592頭、2021年には19,558頭と推定されており、実際に猫の駆除が始まる前からすでにその数が約5倍に増加していたことを示しています。実に、2003年度の推定が2,329頭だったのが、2017年には11,592頭へと増加したのです。この成長は猫の存在と矛盾しないどころか、猫が生息する環境でのアマミノクロウサギの数が増えていることを示しています。
駆除の前後での変化
驚くべきことに、駆除が始まった2018年度以降の4年間においても、アマミノクロウサギの増加率は駆除開始前と大差ありませんでした。具体的には、駆除前の2014〜2017年度と、駆除後の2018〜2021年度を比較すると、増加率はそれぞれ約1.145倍、約1.140倍という結果でした。このことからも、駆除の必要性が疑問視されるのです。
捕獲にかかるコスト
環境省が猫の捕獲にかけるコストも問題視されています。最近のデータによれば、猫1頭を捕まえるのにおよそ49万円以上がかかる計算になります。これは驚くほどの投資ですが、その効果には疑問が残ります。
捕獲される猫の実態
環境省は捕獲されるのが「ノネコ420頭」としていますが、具体的な内訳は不明です。不妊去勢手術を受けた「さくらねこ」と呼ばれる猫も捕獲されており、その比率は年々増加しています。環境省自身が「野良猫とノネコの区別が難しいことを認識している」と述べていることからも、一様に駆除される猫の理解には相当な困難があることが分かります。
環境省の対応とどうぶつ基金の主張
どうぶつ基金は、環境省に対して「猫の駆除が本当に必要なのか、それに対する科学的な根拠を示してほしい」と求め続けていますが、環境省は「捕食は確実である」とし、具体的な根拠が乏しくても対策を講じる必要があると主張しています。これは保全生物学におけるいわゆる「予防原則」に基づくものです。しかし、どうぶつ基金は、この原則が全国規模の猫駆除に適用されるべきかどうか疑問を呈しています。
世界遺産登録についての矛盾
環境省の公式見解では、「世界自然遺産登録を目的に行っているわけではない」とする一方で、メディアからの取材には「アマミノクロウサギが食べられることが世界遺産登録にマイナスになる」との発言があり、公式な説明と現場の実態に矛盾が生じています。これは、猫の駆除問題に関して、政府が一貫した立場を持っていないことを如実に示しています。
結論
どうぶつ基金は、希少種の保全の必要性に賛同しつつも、猫の駆除が本当にその目的に適切なのかどうか、疑問を持たざるを得ません。適正飼養と不妊手術(TNR)という方法で猫を管理することで、事故的な殺処分を避ける方法があるはずです。具体的な解決策はあるのに、全国レベルで「防除推進外来種」として位置づけることへの疑問が募ります。
署名活動
現在、どうぶつ基金は「イエネコを防除推進外来種に指定しないよう求める署名活動」や、「世界遺産登録を口実に、奄美・沖縄の猫を無為に殺処分しないでほしい」といった署名活動を進めています。これらの活動が、多くの人々の目に留まることを願っています。彼らが提唱する解決策に耳を傾け、持続可能な生態系保護が実現することを期待します。