若者の進路希望と親の期待の実態
受験シーズンは、多くの学生にとって不安や葛藤の季節です。特に家庭環境に悩む子どもたちは、多様な進路の選択肢と親からの期待の間で悩むことが少なくありません。その実態をNPO法人第3の家族が調査しました。
この調査は、掲示板「gedokun」に寄せられた若者とその親の進路望について探ることを目的としています。調査結果によると、実に93.8%の回答者が親子の進路希望に食い違いがあると感じていることが判明しました。彼らの実際の声を見ていきましょう。
調査概要
- - 調査主体:NPO法人第3の家族
- - 調査手法:Webアンケート
- - 調査地域:全国
- - 調査対象:掲示板gedokunのユーザー
- - 調査期間:2024年12月1日〜2024年12月7日
- - 有効回答数:145
- - 設問内容:自分の将来の夢、親が思っていそうな自分の将来
この調査で明らかにされたのは、子どもたちが望む進路と、親が期待する方向性とが大きく異なるケースが多いということです。具体的には、「声優になりたいのに親は銀行員を希望している」や、「医者になりたいが親はサラリーマン志望」といった具体的な例が挙げられました。
普通を求められるプレッシャー
また、多くの子どもたちが受け取っているプレッシャーには「普通」という言葉があります。「普通に安定した仕事」「普通の女性がしそうな仕事」というような表現からは、漠然としたが強い期待が伝わってきます。そうした「普通」が心の負担になっている様子が伺えます。
子どもたちはクリエイティブな職業に夢を抱いているにもかかわらず、やはり「親は自分をニートにすると思っている」との声もあります。これにより、将来的な自己実現に対する不安を募らせていることがわかります。
オンラインイベントでの声
2024年12月26日には、オンラインイベント「gedokunユーザー集会」が行われ、子どもたちの悩みや考えが共有されました。参加者からは「理系の専門学校に行きたいが、親からは進学校に進めと言われる」との発言や、「絵師になりたいが、親からは自分の絵を下手だと言われるふがいなさ」という意見が寄せられました。
専門家の意見
学習支援塾ビーンズの代表、塚﨑康弘氏は「子どもたちが限られた情報源からのみ進路選択をしている結果、一般的にメディアで取り上げられる職業に目が向く」と指摘しています。また、SNSを通じて「暗い世界観」を受け入れている子どもが多く、職業観の選択が狭まる事例も問題視されています。
NPO法人第3の家族の提言
NPO法人第3の家族の代表、奥村春香氏は「親と子どもは信頼関係の中で生活しているが、その期待が逆に子どもを追い詰めることもある」と懸念を示しています。そして、親自身が子どもとの対話を重視し、彼らの好きなことや得意なことを共に考える重要性を強調しました。これによって、親子間の理解が深まり、子どもたちが心から望む進路へ進む道が開かれることを願っています。
まとめ
受験シーズンは多くの家族にとって特別な意味を持つ時間です。今回の調査を通じて、親と子の間で進路についての理解がどれほど重要かを再認識しました。家族間のコミュニケーションを深めることは、子どもたちが安心して未来に向かえる環境づくりの一歩となるでしょう。