鈴木一人教授が提唱する新たな経済戦略『地経学』の全貌と意義

自由貿易の時代が終わる中での『地経学』の意義

国際政治学の権威である東京大学の鈴木一人教授が、9月25日に新刊『地経学とは何か：経済が武器化する時代の戦略思考』を発表します。この作品では、新しい時代を生きるために必要な戦略的思考「地経学」について深く掘り下げ、経済がどのように武器化されているのかを論じています。

グローバル化の逆流

第2次世界大戦後、自由貿易とグローバル化の流れは加速しましたが、最近ではその逆流が顕著になっています。アメリカのトランプ政権による高関税政策、中国がレアアースを用いた圧力、ロシアの天然ガス戦略など、国際社会は新たな経済的緊張を迎えています。鈴木教授はこれを「経済が武器化される時代」と表現し、その影響をさまざまな視点から分析しています。

目次を通して見る地経学

書籍は、序章で経済安全保障の重要性を説いた後、5つの章で構成されています。第一章では半導体に焦点を当て、なぜこの分野がこれほど注目されているのかを解説。また、第二章ではITとAIの発展が地経学に与える影響について考察します。続く第三章では宇宙における秩序の重要性、第四章では資源を巡る国際関係の力学、最後の第五章では経済制裁とその効果について述べられています。

日本の未来を見据えて

この書籍は単なる理論書ではなく、特に日本がこれからの困難な時代にどう立ち向かうべきかという指針も示しています。例えば、半導体産業の復活は日本経済にとって非常に重要であり、そのための戦略や政策についても触れています。また、宇宙と資源の問題も、日本の経済安全保障にとって欠かせないテーマです。

著者鈴木一人のプロフィール

鈴木一人教授は1970年に長野県で生まれ、国際関係研究の修士号を取得後、サセックス大学で博士号を取得しました。その後、北海道大学やプリンストン大学での研究を経て、東京大学の教授として現在に至ります。また、日本の外交に関する数々の著作や活動を通じ、経済と地政学の交差点に立つ専門家として、その知見を広めています。