住友重機械工業、胸部固形腫瘍に対する新規治験を開始
住友重機械工業株式会社は、国立研究開発法人国立がん研究センター、ステラファーマ株式会社、そして株式会社CICSと協力し、胸部固形悪性腫瘍を対象とした新しい臨床試験を開始した。これは、標準治療が困難で切除不能な再発の胸部固形悪性腫瘍患者に対するホウ素中性子捕捉療法(BNCT)を用いた第I/II相バスケット試験であり、すでに第1例目の被験者の試験がスタートしている。
BNCTの画期的な試み
この治験は、BNCTとしては世界初の試みで、複数の胸部癌種を対象とすることが特徴である。この方式により、中性子が照射される正常組織を共通化できるため、個別の癌種に対する治験よりも開発期間の短縮が期待できる。さらに、BNCTの適否を事前に評価するために、FBPA-PETを用いた検査が行われることで、患者ごとに最適な治療を検討する機会がもたらされる。
治験対象と目的
本治験の対象となるのは、標準的な放射線療法や薬物療法が実施できない、もしくは切除不能な再発の胸部固形悪性腫瘍を有する患者である。この中には、食道癌、非小細胞性肺癌、乳癌、胸部に発生する悪性軟部肉腫、悪性胸膜中皮腫などが含まれる。
治験の目的には、BNCTの安全性及び有効性の評価、BNCT施行前のPETによる[18F]F-BPAの安全性評価、またBNCT施行の適否判定に関する探索的評価がある。このように多面的にアプローチすることで、治療の質を向上させることが目指されている。
治験の契約期間と詳細
治験契約は、2028年10月31日まで有効で、詳細情報は日本の臨床試験登録サイトで確認することができる。この試験の成功は、胸部固形悪性腫瘍の治療における新たな希望となることが期待されており、住友重機械工業は、今後もこの分野における革新を進めていく方針である。
住友重機械工業は、BNCTが新しい治療手段としての役割を担えるよう、引き続き開発を行っていくことを表明しており、この治験はその重要な一歩となる。患者一人一人に合った最適な治療法の確立を目指して、今後の進展が注目される。